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2014年12月16日 (火)

衆院選に関する若干の感想/日本の針路(86)

衆院選が終わった。
一強多弱という構図に変化はなく、安倍首相の意図通りの結果といえよう。
野党の構えが十分でないうちに選挙してしまえ、ということである。
大相撲でいえば、時間いっぱいでないのに横綱が仕掛け、野党はずるずると合わせてしまったような感じである。
「大義なき解散」という批判もあったが、そもそも選挙は「仁義なき戦い」であり、負け犬の遠吠えに過ぎないだろう。
常在戦場である。

しかし、投票率の低さはやはり問題であろう。

戦後最低だった前回、おととしの選挙の59.32%を6.66ポイント下回って戦後最も低くなりました。
都道府県別で最も投票率が低かったのは、青森県で46.83%、次いで徳島県が47.22%、富山県が47.46%の順となっています。
Photo
衆院選投票率52.66%戦後最低更新

50%未満の投票率は選挙として有効なのか、という気もする。
昨日の日経新聞の「春秋」に、ライシャワーの次のような定義が紹介されていた。

一般国民による政府の統制をできるだけ平等かつじゅうぶんに許す政治制度

この定義に照らせば、投票率が低いことは民主主義が未成熟・未発達であるということになる。
春秋子はその責任を、「「いまなら勝てるから」と師走選挙に踏み切った安倍政権も、政権に思うがままを許した野党も、「棄権」という名の権利を謳歌した有権者……」にあるとしている。
その通りであるが、誰が最も重いかといえば、選挙を仕掛けた政権側といえよう。
投票率が高くならないようにという作戦は、ライシャワーの言をまつまでもなく、民主主義の精神に反するだろう。

選挙結果を眺めれば、自民党あるいは与党の圧勝であることは間違いない。
しかし、選挙期間中にメディアでは「自民300議席超え」と報じていたのが目に付いた。
自民党は、改選前と比べると2議席減だが、前回の当選時点は294人だったから、3議席減と見た方がいいだろう。
バンドワゴン効果はなかったということなのか。
圧勝ではあるが、大勝利ではないという微妙な結果である。

民主党は海江田党首が落選という衝撃の事態に陥った。
片山哲以来というから、珍事であると言って良い。
しかし、11議席増の73議席を確保したから、惨敗でもないだろう。
いやいや、前々回は与党であったことを考えれば、惨敗の継続中といった方がいいのかも知れない。

苦戦だと予想されていた維新は、1議席減の41議席を確保した。
善戦といえるかも知れない。
注目するのは、共産党の躍進である。
改選前の3倍弱となる21議席を獲得した。
自共対立を前面に出して、反自民票を取り込んだものと考えられる。

「自民党の右側に柱を立てる」とした次世代の党は、改選前の19議席から、2議席へ減らした。
「次世代の党」というネーミングと裏腹に、要介護のような高齢者が目立ち、アナクロな気炎を上げているのは、見るのも痛々しいような感じだった。

それはともかく、共産党の躍進と合わせて考えれば、「極右」は支持されなかったということになる。
田母神俊雄氏が演説していたような次のような公明党排除論は支持されなかったのである。

現在、自民党と連立を組む公明党は憲法9条改正を妨害し、集団的自衛権の解釈変更を骨ぬきにしたので、邪魔な存在である。公明党に代わって次世代の党が連立入りすれば、公明党を追放し、自民党が持つ本来の”保守色”が発揮されるだろう。

都知事選では、田母神氏は61万票を取った。
⇒2014年2月11日 (火):都知事選の結果と暗い予感/花づな列島復興のためのメモ(306)
大まかに言って、東京都の人口の10倍が日本人の人口でる。
であれば、610万票であり、公明党の700万票に匹敵すると考えたのではなかろうか。

しかし多くの保守層は、ヘイトスピーチに象徴される極右を忌避したのであろう。
それにしても、百田尚樹氏や長谷川三千子氏のような次世代の党とほぼオーバーラップするような考え方の人が、希少なNHK経営委員の座に座っていることは不自然ではなかろうか。
経営委員について、NHKのサイトでは次のように説明している。

公共の福祉に関し公正な判断をすることができる、広い経験と知識を持つ12人の委員で構成されています。委員は、国民の代表である衆・参両議院の同意を得て、内閣総理大臣により任命されます。
http://www.nhk.or.jp/keiei-iinkai/about/

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