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2014年11月 1日 (土)

博打的な経済政策の行方/アベノミクスの危うさ(41)

日銀が、31日の金融政策決定会合で、追加の金融緩和策を決めた。
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日本経済新聞11月1日

 昨年4月に異次元緩和を導入後、初の追加緩和となる。黒田東彦(はるひこ)総裁は31日午後に記者会見し、消費低迷や最近の原油安を踏まえ、「物価上昇率がやや下がっており、将来の賃金や企業の価格設定が下がる恐れがある」と指摘。「デフレマインドの転換が遅延するリスクがあり、金融緩和の拡大が適当だ」と説明した。
 追加緩和策は、長期国債の買い入れ規模を現在の年間約50兆円から80兆円に30兆円増額。満期までの期間の平均も最大3年程度延長して7〜10年にする。より長期の金利を押し下げ、お金を借りやすい環境にして景気を刺激する狙いだ。上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(REIT=リート)の買い入れ規模も3倍に増やす。資産買い入れを強化することで、市場に流すお金の量を増やす。
日銀:追加緩和、異例の僅差 賛成5、反対4 供給拡大、年80兆円−−決定会合

これを受けて株式市場は異例の高騰となった。
下図は昨日の日経平均である。
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 「まずい、買い戻せ!」
 週末前で静かだったフロアで、一気に電話が鳴りっぱなしになった。14時ごろの証券会社のトレーディングルーム。ある国内証券のトレーダーは、顧客からの大量の買い注文に追われた。13時40分ごろに日銀の追加緩和決定が伝わると、投資家は一斉に買いで反応した。日経平均株価はその後わずか5分で400円強上昇。買いの勢いは止まらず、終値では755円高と約6年ぶりの上昇幅となった。
日経平均6年ぶり上げ幅 日銀に裏をかかれた海外短期筋

1日の値動きを1年間と対比して見てみよう。
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追加緩和策が奇襲攻撃的であったことが分かる。
日銀の緩和策は円安を導くことになる。

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日銀が追加の金融緩和を決めたことで、三十一日の東京外国為替市場では一気に円安ドル高が進んだ。円安は海外での売り上げ規模が大きい大企業には増益につながる利点が見込める一方、海外との取引がない中小零細企業や家庭には輸入品などの物価上昇で負担が増えるリスクをもたらす。金融緩和が物価上昇をもたらすだけで、賃金アップや経済成長につながらなければ、消費者の生活は厳しくなるばかりだ。
 追加緩和を受けて三十一日の東京外国為替市場の円相場は一時、一ドル=一一一円台半ばを付けた。輸出増による利益アップが期待できる国内の自動車メーカー首脳は「一一一円台は心地よい水準」と話す。
 だが、円安を喜ぶ声ばかりではない。東京都などで食品スーパー十四店を展開するさえき(東京都国立市)の担当者は「(国産の)卵や牛乳も(輸入飼料の値上がりで)じわじわ仕入れ価格が上がっている」と明かす。
 東京都内の三十代の主婦は「内容量が減った食品も多い。さらに消費税率が10%になったら主婦は泣きます」と訴えた。
 東京都大田区の町工場は原材料費などの高騰に危機感を抱く。大手メーカーの下請けで金属部品を加工する神代(かみしろ)工業は電気代に加え、金属の研磨に使う中国製の砥石(といし)の値上がりに悩む。皆方一義(みなかたかずよし)社長(55)は「メーカーから受け取る工賃は上がらず、原材料費が値上がりすれば経費増を下請けがかぶらねばならない」と語った。
進む円安 物価高騰懸念 日銀、追加緩和を決定

円安は、日経平均を構成している主要銘柄であるグローバル企業にとっては追い風になるだろうが、中小企業や生活者にとってはマイナスが大きい。
日銀が追加緩和に踏み切らざるを得なかったというのは、アベノミクスの自壊を示しているように思える。

市場にとってはサプライズだったが、円安が進むことによって日本経済が良くなるとは思えない。
製造業大手の拠点は海外移転が進んだために円安でも輸出が伸びない。
中小企業にとっては原材料の輸入価格が高騰する一方で、価格転嫁はままならない。

消費税増税に加えて円安による物価上昇が家計を圧迫している。
現在の景気停滞の原因は、国内総生産(GDP)の六割を占める個人消費の落ち込みが大きいからである。
経済の好循環というのは、砂上の楼閣であろう。
⇒2014年10月 2日 (木):「経済の好循環」はどこに生まれているのか?/アベノミクスの危うさ(39)
⇒2014年10月14日 (火):経済政策の自壊と暴走政権の行方/アベノミクスの危うさ(40)

「3本の矢」などと、いかにもまともな経済政策のように思わせてきたが、アベノミクスの中身は金融政策しかないことが露呈した。
輪転機で紙幣を刷り、国土強靭化と称する公共事業に使うことで実体経済が活性化するとは思えない。
追加緩和は博打的な経済政策の本質を示しているといえよう。

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