続・安倍首相は裸の王様か?/日本の針路(76)
安倍首相が大学生のサイトに激怒して、自身のFacebookで反論した。
さすがに批判が殺到し、既に削除されているが、まさに「裸の王様」状態であることが露呈したと言えよう。
⇒2013年10月17日 (木):安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(16)
大学生の作ったサイトは次のようなものだ。
黒板の数字がアクセス数になっていた(と思われる)。
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-4579.html
サイトを作ったのは慶応大学の学生で、以下のような釈明(?)が載っている。
まずはじめに皆さんに謝らなければならないことがあります。
10歳の放送部の中村を名乗り、実際は私がリプライ、コメントをしていました。皆さんに嘘をつく形となり、本当に申し訳ありませんでした。
なぜ僕がそうしようと思ったのか、説明させて下さい。
数日前に衆議院が解散することが決まりました。なぜ解散するのか、理由がわからず、僕の頭の中には多くの疑問が残りました。そんな時に常に社会に対して疑問を持ち、どうして?なんで?と大人に問いかけていた自分の幼少期を思い出しました。当時の僕だったらこの問題に疑問を持ち、どうして?なんで?解散するの?と聞いていたと思うようになりました。
そして、この問題は日本の中でどのように感じられているのか、多くの人々は何を感じているのか知りたくなりました。
そこでウェブサイトを作り、僕が小学4年生を自演することで面白いと皆さんに受け止められ、より多くの方を巻き込んだ形で、今回の選挙の意義を語り合うことができるのではないかと考えました。
http://why-kaisan.com/
まあ、ちょっと手が込みすぎていたが、「どうして解散するんですか?」は、少なくともかなりの人数の有権者が疑問に思っていることであろう。
安倍首相は、無視するか正面から説明すればよかったのだろうが、次のように自身のFacebookで、この大学生の行動に反撃している。
大学生が小学生のフリをしたのを、ことさらに「なりすまし」と非難するのからして大人気ない態度ではなかろうか。
この投稿は既に削除されているが、東京新聞には「首相はネトウヨだった!?」と皮肉られている。
東京新聞11月27日
ネトウヨは「ネット上で右翼的(排外的)な表現を用いる人」のことであるが、右翼団体の一水会代表木村三浩氏はネット右翼について「右翼の品格にあらず」と発言している。
蔑称というニュアンスが込められていると言えよう。
プロブロガーのイケダハヤト氏は、首相のFacebookについて、次のようにコメントしている。
第一に、よほどこの投稿の方が卑劣だろ!という定番のツッコミ。そして第二に、なぜ「今回の失敗にめげずに、社会に問題提起を続けてほしい」という寛容なコメントを出さなかったのか、という戦略面に対するツッコミ。こういう投稿しても、ネトウヨくらいしか喜ばないと思いますけどね…。
安倍首相が青木大和さんを「最も卑劣」と公然と非難した件について
イケダ氏は、東京から高知に移住して話題になった人で、いわゆるノマド生活を送っている。
⇒2014年9月16日 (火):ダウンシフトと「ゆるい就職」人気/日本の針路(43)
そして、安倍首相のFacebookが、「ネトウヨの巣窟になっているので、案外、本当に支持層だと認識して、ああいった狭量な態度を露呈しているのかもしれませんね。」と続けている。
要は、安倍首相の周辺(たとえばFacebookの運用チームやFacebookにコメントを寄せる人たち)のレベルの問題であるが、それらが世の中だと思っているということであり、まさに「裸の王様」状態だということである。
これは盟友の百田尚樹氏の態度に共通するものでもある。
批判者に対して瞬間湯沸かし器のように短絡的に反応する。
⇒2014年11月18日 (火):安倍政権の失敗と総選挙/日本の針路(71)
⇒2014年11月21日 (金):百田尚樹の『殉愛』の売り方/知的生産の方法(110)
⇒2014年11月22日 (土):クリティカル思考の反面教師としての百田尚樹/知的生産の方法(111)
たまには熟慮する時間をもって、広く世間を俯瞰してみたらどうだろうか。
仁徳天皇の逸話に次のようなものがある。
難波高津宮から都を眺めても、人家から飯を炊く煙が上がっていなかった。
「これはどういうことだ? 民は飯時に炊く米もないほど困窮しているというのか? 都でさえこんな状態ということは、地方はもっとひどいであろう」と語ったという。
まさに階層分化が進み、地方は都よりも困窮しているのが現在である。
威勢のいい演説はもはや多くの人の胸に響かない。
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