安倍首相の盟友・百田尚樹の馬脚/日本の針路(76)
百田尚樹氏の『殉愛』 のAmazonカストマーレビューは日を追って低下している。
⇒2014年11月18日 (火):安倍政権の失敗と総選挙/日本の針路(71)
⇒2014年11月21日 (金):百田尚樹の『殉愛』の売り方/知的生産の方法(110)
⇒2014年11月22日 (土):クリティカル思考の反面教師としての百田尚樹/知的生産の方法(111)
当初、幻冬舎の仕掛けにまんまと乗って、「感動しました」というような星5つはほとんど姿を消してしまった。
もちろん、11月27日時点でも、次のような投稿もある。
とても素敵な本でした。涙がとまりませんでした。やしきたかじんさんとさくらさんのお互いに対する愛が、文面からヒシヒシと伝わってきました。この本に出会えてよかった。ありがとうございます。
星5つを付けている投稿の中には、次のように逆説的なものもある。
未亡人がしゃべって、流行作家が書いて多くの人が手にした。その結果、不審点が浮き彫りになり公的な捜査も行われるだろう。その功績で星5つ。
週刊誌等にとっては格好の話題のはずであるが、「作家タブー」であろうか余り目にしない。
しかしネット上では、この著書をめぐる疑惑については、すでに勝敗があったようである。
代表的な最近のレビューの一部を引用する。
公平な視点で読んだとしても相当数の疑問点が挙がる
さくら女史がいかに健気に尽くした女性かを描きたいのはわかるが正直、常軌を逸しており滑稽ですらある
百田氏はもはや第三者的な目でこの作品を読む事が出来ないのだろう
いったい何の為にこの本が出されたのか
彼女の保身、それはわかる
では百田氏は?
あまり口にしたくないそれであろうか
氏の作品を多く読んだひとりとして残念だ
そして
この本を世に送り出した出版社にすら疑問を抱かずにはいられない
時同じくして、京都では自分の夫を次々と殺害した女の事件が取り沙汰されている
以前にも首都圏では結婚詐欺から何人もの男を殺したふくよかで床上手と噂の女性がいた事を思い出した
・・・・・・
私としては、日本を右傾化させている張本人の実像が多くの人に知られるようになったことは誠に結構なことだと思う。
そしてついに、たかじん氏の実娘は提訴した。
今年1月に64歳で死去した歌手、やしきたかじんさんの晩年を作家の百田尚樹氏(58)が書いたノンフィクション本「殉愛」によって名誉毀損(きそん)やプライバシー侵害をされたとして、たかじんさんの長女(41)が21日、出版元の幻冬舎に、出版差し止めと1100万円の損害賠償などを求める訴えを東京地裁に起こした。
訴状では、複数の虚偽の記述があり、「原告の私生活に関して誤った認識を与える」と指摘。さらに、「百田氏は原告をはじめとした親族などに取材をして事実確認しようとしなかった」と主張している。
やしきたかじんさんの長女、出版差し止め求め提訴 晩年を百田尚樹氏が描いた「殉愛」
百田氏は提訴されたことについて、次のようなツイートを発していた。
すぐに削除したようだが、何とも気が滅入るような応対ではなかろうか。
少なくとも自分が書いた亡くなった人の実の娘からの提訴である。
百田氏等が好きな「真の日本人」なら、もう少し厳粛に受け止めるべきだろう。
百田氏は作詞家の及川眠子の批判に対しても、見当違いの反論をして世間の顰蹙を買っている。
当該ツイートは以下のようなものである。
たかじん氏の歌を多数作詞しており、『殉愛』にも引用されている詞の作者である及川氏に対して「売名行為」と決めつけた。
たかじんファンの反感を買ったのは当然であるが、及川氏は次のように返した。
皮肉が効いているが、蛙の面にナントカであろうか。
見かねて(?)タレントの水道橋博士氏が百田氏をたしなめた。
まあ、いちいち反応する百田氏の器の小ささを見る思いがするが、文士とは作家のことであろう。
気取ったことはあるかどうか知らないが、博士氏のいうように各出版社から本を出している百田氏が、タブーによって守られているのは事実だろう。
どんな顔をして出るかと楽しみにしていた「たかじんのそこまで言って委員会」の放映は、『殉愛』 に触れている部分は全部カットだった。
11月23日、それを象徴するようなできごとがあった。この日、『たかじんのそこまで言って委員会』(読売テレビ)では、『殉愛』の特集が放映されることになっていた。この日の放映では、その部分がすべてカットされていたのだ。
「2週間ほど前に収録をすませ、さくら夫人の結婚歴が暴かれた後も、放映予定を変えていなかったようですが、訴訟を起こされたことで、カットせざるをえなくなったらしい。テレビの場合、放送法の関係での訴訟案件の主張を一方的に取り上げると、問題になる可能性がある。今後は『殉愛』をテレビでPRするのはむつかしいやろう」(読売テレビ関係者)
『殉愛』訴訟で「委員会」が特集中止!大阪のテレビ局関係者に責任波及
たかじん氏の死を冒涜する気はないが、百田氏が反論を重ねるたびに、墓穴は深く広くなっていく。
百田氏といい、安倍首相といい、他人の批判に過剰なくらい敏感に反応している。
精神病理学の領域かも知れないが、どんどん反論して世間にその姿を露出すればいい。
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