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2014年11月 7日 (金)

川内原発を再稼働させて、廃棄物はどこへ行く?/日本の針路(64)

九州電力川内原発(鹿児島県薩摩川内市)の再稼働の準備が進んでいる。
原子力規制委員会が、9月10日の定例会合で、川内原発1、2号機が新規制基準に「適合していると認められる」との審査書を了承し、昨年7月に同基準を施行して以来、初の合格判断を正式決定した。
再稼働の必要条件である地元同意については、薩摩川内市の市議会と岩切秀雄市長が10月28日に、同原発の再稼動にそれぞれ同意した。

宮沢洋一経済産業相は、3日、鹿児島県を訪れ、再稼働への協力を要請した。
「国の責任」を明確にすることで住民の批判をかわしたい伊藤祐一郎知事と県議会の意向に沿う形だ。
しかし肝心の宮沢大臣が、職員らに訓示した際、同原発を「かわうち原発」と読んだというからサマにならない。
不勉強ぶりが露呈したわけである。

そして今日(7日)、鹿児島県議会の陳情採択を受け、伊藤祐一郎知事が同意表明した。
これで外形的には、再稼働の条件が整ったことになる、と言えるのか?

これらの手続きは、あくまで必要条件ではあっても十分条件ではない。
再稼働した方が良い、とは決して言えないだろう。
1つは稼働した後の廃棄物処理をどうするのか、という問題である。
今日の東京新聞に下図のような戯画が載っている。
141107

原発で使われた核燃料が再処理されて混合酸化物(MOX)燃料に再生されることになっている。
いわゆる核燃料サイクルである。
ところが、核燃料サイクルの要である青森県六ケ所村の再処理工場も、福井県敦賀市の高速増殖炉原型炉もんじゅも、トラブル続きで実用化のめどが立っていない。
このサイクルは事実上破綻しているのである。
⇒2013年5月18日 (土):「もんじゅ」22年間の運転の実態/原発事故の真相(70)
⇒2012年6月11日 (月):電源構成と核燃料サイクル/花づな列島復興のためのメモ(83)

また、技術的に上手く回ったとしても、コスト面で問題がある。
⇒2014年1月 6日 (月):核燃料サイクルをどう考えるか?/花づな列島復興のためのメモ(290)

さらに核燃料サイクルの中間廃棄物を貯蔵している間のリスクをどう考えるか。
⇒2013年5月25日 (土):核燃料リスクをどう軽減するか?/花づな列島復興のためのメモ(219)

同原発は、火山列島の中でも有数の火山地域に立地している。
火山噴火リスクについての懸念は払拭し得ていない。
⇒2014年10月 6日 (月):御嶽山噴火と川内原発再稼働/日本の針路(48)

日本列島は1000年ぶりの大地動乱期に入ったという説が「新潮45」の11月号に載っている。
4514112

福島第一原発の廃炉のメドはまだ立っていない。
⇒2014年11月 2日 (日):廃炉はいつ終わるのか?/原発事故の真相(119)

ライフサイクルが俯瞰できないような技術は未完成というしかないだろう。
それでも再稼働させるのだろうか?

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