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2014年11月 5日 (水)

国道6号線沿いに咲くセイダカアワダチソウ/原発事故の真相(120)

国道6号線は、東京都中央区から宮城県仙台市へ至る道路である。
水戸から太平洋沿いに北進するが、千葉県から宮城県にかけての区間は常磐自動車道と並走している。
福島第一原子力発電所事故に伴う帰還困難区域設定のため、福島県内の一部区間は許可車両以外の通行が規制されていた。
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上図の赤い印が福島第一原発を示す。
私の知人に南相馬市出身の人がいて、9月15日からの自動車の自由通行を喜んでいたので、何となく馴染みのある道路である。
しかし、線量計は、規制解除された区間でもはっきりと振れると言っていた。

10月31日の日本経済新聞朝刊のコラム「春秋」に常磐線富岡駅付近の光景が紹介されていた。
緑色の印が富岡駅の位置である。

 福島県富岡町のJR富岡駅。この場所で、線路がどこにあるかさえわからないほど覆い茂ったセイタカアワダチソウの話を、先日の本紙朝刊が伝えていた。原発の事故で住民は避難したまま。人の姿が消えた町はこんな光景になってしまうのかと、いたたまれなくなる。▼福島第1原発の周辺では、田畑一面にセイタカアワダチソウの花が咲き、黄色いじゅうたんが広がっているように見えるという。民家の庭にも入り込み、建物を押しつぶさんばかりに生い茂る。思い出の地を埋め尽くしていく植物の波。いまなお避難生活を送る人たちは、二重にふるさとを奪われるような思いであろうか。▼セイタカアワダチソウは、よく知られた外来種である。原産地の北米から、荷物に種子がくっつくなどして持ち込まれたらしい。植物でも動物でも、外来種は繁殖力が強く、生態系の中で悪役となっている。ただ、多くはペットや観賞用とされたり、船や飛行機に偶然閉じ込められたりして、無理やり運ばれてきたものだ。▼着いた先がたまたま日本で、そこで必死に生きている。原因が人の行いにあるとすれば、単純に外来種だけを責めてすむ問題ではないだろう。なにしろこんなジョークもあるくらいだ。かつてアフリカの一部にしか生息していなかったのに、世界中に広がって生き物を滅ぼしている外来種はなに? 答えは「人類」である。

朝刊のコラムニストは各社のエース級の名文家であろうから、題材の選び方からレトリックまで学ぶところは多い。
セイタカアワダチソウという外来種が、人の住まない生態系で、我が物顔で繁殖している様が目に浮かぶ。
この風景については、鷲谷いづみ東京大学教授の『セイダカアワダチソウに染まった秋』という日本経済新聞の2012年11月7日夕刊載っていた文章から考えたことを記したことがある。
⇒2012年11月22日 (木):セイダカアワダチソウの風景と記号論/知的生産の方法(25)

同じ季節なのだ、と改めて思う。
11月4日の東京新聞に、「国道6号線ルポ」が載っている。
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3年8か月になるというのに、依然として高い線量である。
黄色のじゅうたんは、原発事故が生活環境を奪ってしまった象徴ではないだろうか。

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