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2014年10月 5日 (日)

再生可能エネルギー利用の拡大/技術論と文明論(6)

九州電力など電力4社が太陽光発電による再生可能エネルギーの買い取り中断を決定した。
中断以外にも、東電、関電、沖縄電力の各社が買取に制限を設けるなど、再生可能エネルギーの買い取り制度が危うくなっている。
買い取りは法律上は義務付けられているが、例外規定が設けられていて中断することが可能となっている。
ここまで殺到するとは「想定外」だったのかもしれないが、制度設計の甘さは免れない。

元々の設備に対して、業者、さらには個人投資家なども参入して急激に供給量が増えた。
買取価格が高く設定されるインセンティブがあり、さらには認可も厳しくはなく、参入が容易だった。
九州や北海道は土地が安いこともあり、遊休不動産を持て余していた企業や個人投資家が買い取り制度に飛び乗った。

固定価格買い取り制度(FIT)は、小規模事業者や個人が太陽や風力などでつくる電力を、高値で安定的に買い取ることを大手電力会社に義務付けるものである。  
再生可能エネルギーの普及策として世界中で採用されており、日本では一昨年の夏から始まった。  
日本のFITには大きな抜け穴が用意されていた。
買い手側の電力事業者が「電気の円滑な供給の確保に支障が生ずる恐れがある」と判断すれば、接続、つまり買い取りを拒否できるという条項である。

九電は買い取り中断の理由を、次のように説明している。  

今年四月の買い取り価格引き下げを前に、駆け込み申請が急増、三月だけで過去一年分の約七万件の申し込みが殺到した。太陽光や風力は天候による変動が大きい。現在の発送電システムでは急激な出力変動に対応できず、停電など安定供給に支障が出かねない-。
再生エネ中断 原発依存に戻るのか

九電の川内原発は、3・11後の新規制基準に適合し、現在ゼロ状態の原発再稼働に最も近い位置にいる。
も先鞭(せんべん)をつけると目されている。
ところが川内原発の火山リスクについては火山学者から疑問が出ているのである。
⇒2014年9月27日 (土):御嶽山噴火と原発の火山リスク/技術と人間(5)

再生可能エネルギー利用の促進にブレーキがかかると、原発再稼働が必要だということになるのは目に見えている。
第187回国会の冒頭の所信表明演説で、安倍首相は次のように述べ、相変わらず原発再稼働に前のめりの姿勢を見せた。
川内原発について火山学者から安全審査に疑問が呈されているときに、御嶽山噴火が直前に起きているにも関わらず、である。

 原子力規制委員会により求められる安全性が確認された原発は、その科学的・技術的な判断を尊重し再稼働を進めます。
第百八十七回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説

御嶽山噴火の被害の全容がまだ掴めていないということを考えれば、正気の沙汰とは思えない。
⇒2014年10月 1日 (水):火山列島でどう生きるか?/日本の針路(47)

連立与党の公明党は、再生可能エネルギーに積極的なようである。
日経テクノロジー・オンライン2014/09/10の公明党・江田議員のインタビュー記事に次のようにある。

江田 公約として最も重要なのは、まず、原子力発電所への依存度を可能な限り低減し、将来的に原発ゼロを目指すことである。
 この実現に向けて、必要不可欠な三つのうちの一つに、再生可能エネルギーの導入の加速がある。具体的な数値として「2030年に30%」という目標を掲げている。
 残りの二つは、省エネルギー対策の徹底によって、2030年のエネルギー利用(一次エネルギー供給)を、2010年に比べて25%削減することと、火力発電所の高効率化である。
 「ただちに原発ゼロを」と主張する人たちがいるが、現実的には不可能だ。原発への依存度を低減していく担保となるのが、再生可能エネルギーの導入を加速すること、そして省エネの促進、火力発電の高効率化だと考えている。
 再生可能エネルギーの導入は、国産のエネルギー資源の拡大という面でも、大きな意味を持つ。また、地域の活性化を促し、地域における産業の創出にも期待している。

今夏原発ゼロであったことを思えば、「ただちに原発ゼロを」との主張が非現実的という見方は説得力に欠けるが、「再生可能エネルギーの導入を加速する」ことには賛成である。
電力会社のFITの例外的規定を利用して、消極的な姿勢は批判されるべきであろう。
先日、静岡新聞に、小規模水力発電の記事が載っていた。

 熱海市西山町の糸川沿いに29日、新開発のプロペラ水車を活用した水力発電機が設置された。将来的な実用運転に向け、「産学官」共同の実証実験を10月1日から開始する。
 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の本年度事業で、市内のインターフェイスラボ(井手由紀雄社長)と名古屋大エコトピア科学研究所(内山知実教授)が受託した。熱海グリーンエネルギー推進協議会や市内の各種業者、市、県の協力を得て取り組む。
 プロペラ水車は、軸なしに周りのパイプとともに回転する新開発の技術で、水流に紛れた落ち葉や土砂で回転が止まることを阻止できるという。騒音抑制の効果も期待される。
Photo
プロペラ水車で水力発電実験 熱海・糸川沿い

そろその効率追求の大規模技術から、安全性重視の中小規模技術へシフトする時代ではないのだろうか。

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