« 再度、片山さつき氏の資質を疑う/日本の針路(57) | トップページ | 沼津と造船学の奇しき縁/知的生産の方法(107) »

2014年10月24日 (金)

「女性が輝く社会」と「妊娠降格」訴訟/日本の針路(58)

妊娠した女性が勤務先で受けた降格処分が、男女雇用機会均等法に違反するかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁が23日、「本人の承諾がないような降格は原則として均等法に違反する」との初判断を示した。
女性側敗訴とした広島高裁判決を破棄し、審理を高裁に差し戻したが、女性側が逆転勝訴する公算が大きいと見られる。
Photo

安倍首相は「女性が輝く社会」を掲げているが、実際に行っていることは「女性が輝く社会」を阻害するようなことばかりである。
「女性が輝く社会」であることの要件は、第一に平和であることだろう。
古賀茂明氏は、『国家の暴走 安倍政権の世論操作術』角川oneテーマ21(2014年9月)で、安倍首相の本願を日本を米国に次ぐ世界の列強国(帝国主義国)と変えようしたいのだとしている。
そして、「列強国になるとは「戦争ができる国」になることではない。「戦争と縁の切れない国」、「戦争なしには生きられない国」になってしまうことだ。」と批判している。
⇒2014年10月19日 (日):小渕辞任は安倍腹痛のトリガーになるか?/日本の針路(54)
戦争をしていては女性は輝けない。

第二は、女性であるが故の「妊娠・出産」の負担をできるだけ社会で共有することだろう。
未だに政治の場での女性蔑視のようなセクハラ野次等がニュースになる国である。
⇒2014年6月20日 (金):品位を欠く政治家にレッドカードを!/花づな列島復興のためのメモ(332)
⇒2014年6月26日 (木):「失言」体質と自民党の病理/花づな列島復興のためのメモ(334)
そしてその多くが自民党議員であることを考えれば、まず「隗より始めよ」ではなかろうか。

このような発言が出てくる土壌として、「女性は家庭で子育てをするのが本来の役目」とする価値意識があるのは容易に見て取れる。
そして、安倍首相が内閣改造で登用した女性閣僚もこうした価値観を持っているようである。
まずは有村治子・女性活躍・行政改革等担当相。

実は有村氏は、男女共同参画などに反対する保守系政治団体「日本会議」の議員懇談会のメンバーだ。2010年には日本会議が主催した「夫婦別姓に反対する国民大会」に拉致担当相になった山谷えり子氏とともに参加していた。
「女性活躍担当相」有村氏はどんな人? 「夫婦別姓」に反対の立場、中絶にも慎重

女性活躍担当相が、男女共同参画に反対の立場というのは理解に苦しむが、「ほとばしるような感慨」で「靖國・平和・民主主義」を讃えるという安倍親衛隊であるが故の抜擢であろう。
次いで、高市早苗総務相。

 自民が駄目なら非自民。非自民の限界が見えたらまた自民。権力を嗅ぎわける力は天下一品だ。その嗅覚で安倍氏へとたどり着いた。自分の鼻が頼りなだけに、スタンドプレーも目立つ。村山富市政権で植民地支配と侵略を認め謝罪した、いわゆる村山談話を「しっくりこない」と批判。政府の方針に反したもので、他の幹部から注意された。またTPP交渉参加を巡る党内議論が始まったばかりの今年2月、「政府の専権事項」と口走り反発を呼んだ。
しかし、実は安倍総理が、本音では村山談話に批判的。TPPの判断も一任を取りつけたかった。高市発言はその心中を察した「露払い」といえる。原発問題でも露払いのつもりか「福島第一原発事故で死者は出ていない」と発言し再稼働を主張した。失言と批判され、直後に撤回、謝罪した。
ある政調幹部議員曰く「高市は安倍のポチ。幹部の器ではないが、今は支えるしかない」。政権に返り咲いたばかりの自民党にとって内紛はご法度だそうだ。高市氏の嗅覚、おまけに自民党の「大人の結束」。野党各党もこの2つには学ぶところがあるのでは。
http://president.jp/articles/-/10675

さらに、山谷えり子拉致問題担当相兼国家公安委員長。

 いずれにしても、国家公安委員長が特定のレイシスト団体に明らかにシンパシーをもち、同一の差別思想を会見で口にしたのだ。普通なら、確実に閣僚辞任に発展する話だろう。
 ちなみに、山谷えり子については、保守派の小林よしのりもブログで警鐘を鳴らしている。
「山谷えり子は在特会だけではなくて、統一協会とも繋がりがあるらしい。」
「しかし、朝鮮人差別の「在特会」と、朝鮮人・文鮮明教祖の「統一協会」の二股をかけている山谷えり子とは、一体何者だ?」
「この山谷を「国家公安委員長」に任命した安倍晋三は、一体何を考えているのか? まったく恐ろしい! 日本はカルトに支配されつつあるのではないか?」
小林よしのりも「カルト」と批判! 山谷えり子をなぜ放置するのか

改造安倍内閣の5人の女性閣僚のうち、辞職した2人以外の3人が以上の人である。
この3人は、18日の秋季例大祭に、靖国神社を参拝したことでも共通性がある。
女性が輝くと言いながら、自分の価値観に近い親衛隊を大臣にしたというだけのことだった。

雨宮処凛さんは、次のように批判している。
「育児に非協力的で、出世のために長時間労働をいとわず、酒の付き合いを大事にする人」すなわち「おっさん」と類似の価値観をもっているが故に、日本型おっさん社会で仲間入りを認められた女性すなわち「名誉おっさん」を増やしても、女性の活躍とは言えない。
私には、上記の3閣僚が「名誉おっさん」にしか見えないのだが。

|

« 再度、片山さつき氏の資質を疑う/日本の針路(57) | トップページ | 沼津と造船学の奇しき縁/知的生産の方法(107) »

ニュース」カテゴリの記事

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

日本の針路」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「女性が輝く社会」と「妊娠降格」訴訟/日本の針路(58):

« 再度、片山さつき氏の資質を疑う/日本の針路(57) | トップページ | 沼津と造船学の奇しき縁/知的生産の方法(107) »