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2014年9月27日 (土)

御嶽山噴火と原発の火山リスク/技術論と文明論(5)

長野・岐阜県境の御嶽山が突然噴火した。

 長野県と岐阜県にまたがる御嶽山(3067メートル)の27日の噴火で、長野県警の災害警備本部は同日午後2時20分の時点で山頂に約150人以上、剣ケ峰付近に100人以上が取り残されていると発表した。4人が灰に埋まっているとの情報があるという。
 一方、木曽広域消防本部は、山頂付近の山小屋の経営者らの話として、同日午後2時現在、救援を待っている登山客のうち、1人は足の切断が必要とみられるほどの重傷としている。ほかに7人がけがをしているという。
 長野県警の災害警備本部によると、御嶽山上空は、約1キロまで噴煙が上がっている状況が確認された。
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御嶽山:噴火 山頂に150人以上取り残される 長野県警

御嶽山は古くから信仰の山として信者の畏敬を集めてきた山である。
木曽を代表する山として親しまれ、尾張地方ではほとんどの場所からその大きな山容を望めることから、「木曽のおんたけさん」として郷土富士のように親しまれている。
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大勢の登山者が山頂付近にいたということは、少なくとも入山規制等の措置が取られていなかったことを示す。
「想定外」だったのであろう。
火山のリスクといえば、原発再稼働の安全性の審査が気に掛かる。
特に川内原発が問題視されている。
原子力規制委員会の審査に、火山の専門家から疑問が出されているのだ。

原子力規制委員会は8月25日と9月2日に、原子力施設における火山活動のモニタリングに関する検討チームの会合を開催。実質的に川内原発の新規制基準適合審査・火山影響評価についての検討の場となったが、そこで火山専門家から規制委の判断結果に対し、その前提を根本的に否定するような意見が相次いだためだ。

火山リスクは、川内原発審査における最重要検討課題の一つ。過去に火砕流が敷地近辺まで到達した痕跡もある。その火山リスクに対する規制委の認識が誤っているとすれば、火山審査を初めからやり直す必要性が生じる。規制委は7月、川内原発の設置変更許可申請が新規制基準に適合しているとして、事実上の”審査合格証”を与えたが、それ対しても多くの専門家から根本的な疑義が表明された形だ。
川内原発の火山審査に専門家から疑義噴出

要は、再稼働に前のめりになっている電力会社や政権が、本気でリスクを考えようとしないことが原因なのではないか。
巨大噴火の予知は、地震と同様に困難だと考えるべきであろう。
それを前提にしないと、同じ過ちを切り返すことになる。

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