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2014年9月 6日 (土)

全国学力テストの意義と公表の仕方/日本の針路(38)

全国学力テストの結果公表について、川勝静岡県知事がとった措置が話題になっている。
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東京新聞9月5日

川勝知事は、昨年に続き小6国語Aの全国平均以上の学校長名の公表に加え、新たに市町別平均正答率を公表する事態に至った。
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<小6結果>知事、校長名と市町別正答率を公表

文部科学省は、平均正答率を一覧表にすることなども認めておらず、川勝平太知事のやり方は「二重のルール違反」としている。
文科省ははこれまで市町村別・学校別の成績公表を禁じてきたが、一部自治体の要望に押される形で解禁した。
市町村教委は学校別を公表でき、都道府県教委も市町村教委の同意があれば、市町村別と学校別を公表できるようになった。
ただ公表する場合、平均正答率などの数値だけでなく、結果の分析や改善策も一緒に公表するよう定め、一覧表や順位付けも禁じた。

私は学校現場の事情に疎いが、知り合いの退職した教諭がひどく感情的に川勝知事に反発しているのが印象的だった。
もう選挙では絶対に応援しない・・・

そもそも全国学力テストは何の目的で実施するのであろうか?
Wikipediaの説明は以下のようである。

全国学力テストは「全国中学校一斉学力調査」として1960年代にも行われた(このときは「学テ」と呼ばれていた)。しかし、学校や地域間の競争が過熱したことにより、1964年をもって全員調査を中止した。だが、近年、学力低下が問題視され、文部科学省は2007年に(小中学校にとっては)43年ぶりに全員調査を復活させた(自治体によっては以前より独自に学力調査を行っているところもある)。
基本的にすべての小中学校が参加するが、2007年は愛知県犬山市教育委員会は、市長や保護者の一部の参加意向を振り切り、「競争原理の導入になる」という理由で市立の全小中学校で参加を見送った。

静岡県の学校現場の声としては以下のようなものがある。

 学校現場も13年度の校長名公表に続き、波紋が広がった。県校長会長の渡辺勉沼津原小校長は「学力テストは結果を授業改善に結び付けるのが本来の意味。市町間のおかしな競争意識や序列化につながることを恐れる」と懸念し、「知事と教育界の対立構図にせず、オール静岡で力を合わせて学校教育を考えていくことが必要だ」と求めた。
<小6結果>同意なき公表に波紋

文科省の市町村別・学校別の成績公表の禁止というのは、学校や地域間の競争が過熱するから、ということであろう。
しかし、川勝知事が言うように、国は都道府県別の平均正答率を科目別に出している。
都道府県別はOKで、市町別はNGなのか?
エリアの広狭以外に理由は見出しがたい。
ダブルスタンダードという批判も理解できる。

私は、学校長は管理者であり、学校別の学力の維持向上の責任者であるから、学校別のデータを公表するならば、校長の氏名も公表して不都合はないと考える。
現実に去年と比べて静岡県の小6国語Aの成績は向上した。
知事が確信犯的に公表に踏み切らなかったらどうだっただろうか?
⇒2013年9月12日 (木):全国学力テスト静岡県の乱/花づな列島復興のためのメモ
⇒2014年8月29日 (金):全国学力テストの結果をどう見るか?/日本の針路(31)

ただ、学力テストの点数を絶対視するのはどうか。
学力テストは学力の一部を反映しているに過ぎず、学力は子供の能力の一部に過ぎない。
大前提として、その辺りの認識がなければならないであろう。

それに、知事と教育界が対立しているように見えるのは、子供たちの目にはどう映っているのだろうか?
また、川勝知事の発言にスタンドプレーの匂いがするのは、学者知事が故の功名心が見え隠れしているからであろうか?

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