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2014年9月 2日 (火)

吉田調書を多角的に検証すべき/原発事故の真相(118)

東京電力福島第一原発事故をめぐる吉田昌郎元所長から当時の状況を聞いた「聴取結果書(吉田調書)」の全容が8月30日判明した。
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静岡新聞8月31日

 日付が15日に変わる頃、免震重要棟の1階出入り口付近には数百人の所員が待機していた。明け方、吉田所長らが指揮を執る2階の緊急時対策室から人が下りてきて、退避命令を伝えた。免震重要棟の重い二重扉が開き、所員らはバスや自家用車で第2原発へ向かった。だが、2時間ほど仮眠を取った後、上司に起こされ第1原発に戻ってくれと言われた。4号機で火災が発生し、人員が必要だという。同僚が戻ると言うので一緒に従わざるをえなかった。
 「生きて帰りたい」と願う一方、「吉田所長が頑張っている間は自分も折れるわけにはいかない」とも思った。緊急時対策室でのテレビ会議で、本店の幹部に食ってかかる姿を何度も見かけた。半面、たまに資料を渡しに行くと、若い所員にも気さくに話しかけてくれるのがうれしかった。
 しかし今年5月、朝日新聞に「吉田所長の命令に違反して撤退した」と書かれた。男性は「当時、退避先が第2原発というのは全員の共通認識だった」と反論。第1原発の構内で退避先を探しても「全面マスクをした状態で何時間もいたら全員死んでいた」と話す。
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吉田調書判明 戦う所長が支え TV会議、本店に激しく反論 元東電社員、収束作業を証言

おそらくは、吉田元所長という希有の人材がいたからこそ、被害は最小限に食い止められたのであろう。
⇒2013年7月10日 (水):死の淵の人・イチエフ元所長吉田昌郎さん/追悼(31)
しかし吉田氏自身が「記憶にない」とか「覚えていない」とする箇所も少なくないという。
極限的状況の中でのことである。
逐一覚えていられるはずもないだろうと思う。
吉田調書も、他の人の証言と突き合わせて多角的に検証することが必要と思われる。

吉田調書は朝日新聞がスクープという形で世に出て、私は当初朝日新聞の大スクープかと思った。
⇒2014年5月22日 (木):「吉田調書」を全面開示して真相解明の一歩に/原発事故の真相(114)
しかし、どうやら信義則に触れるような事情もあるようだ。
吉田調書について、本人が秘匿扱いを希望しており、その経緯は次のように説明されている。

朝日新聞が独占スクープとして特集している「吉田調書」について、内閣官房から吉田氏本人の上申書が公開されました。
この上申書に、政府が吉田調書を秘匿した理由が書いてあります。
リンク先のPDFを見るとわかると思いますが、この上申書では前後関係がつかみにくい。私も3回読み直してようやく大意を得ました。
上申書の内容をかいつまんで整理すると、
・政府事故調による吉田氏へのヒアリングで吉田調書は作成された。書類は政府事故調が保管している。
・国会事故調が吉田氏にヒアリングしたかったが、氏は入院中で出来なかった。
・国会事故調はヒアリングの代わりに吉田調書を使わせてもらうことにした。
・吉田氏は国会事故調が検証する目的でこれを許可した。
・ただし、吉田調書を国会事故調から外部へ漏らさないことを条件とし、それには政府事故調も国会事故調も同意している。
ということになると思います。
つまり、この調書を扱ったのは政府事故調と国会事故調だけであり、両委員会はそれを第三者に漏らさない約束を吉田氏と交わしていたことになる。
両委員会のいずれかに、この約束違反をして朝日新聞の記者に漏らした人がいる。
吉田調書は朝日新聞の不毛なリークか

今後の検証の深まりに期待したい。

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