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2014年9月11日 (木)

ロボット(人工知能)とどう共生していくか?/技術論と文明論(4)

情報の重要性は、大昔から言われてきた。
有名な『孫子』にも次のような言葉がある。

彼を知り己を知れば百戦殆うからず

敵についても味方についても情勢をしっかり把握していれば、幾度戦っても敗れることはないという意味で、情報戦略の重要性を説いていると理解できる。

ヒト、モノ、カネに加えて、経営資源として情報の重要性が言われるようになったのは、コンピュータが情報技術(IT)として企業経営に適用されるようになった1980年代のことである。
特に最近はビッグデータということが盛んに言われ、データ活用の戦国時代のようである。
⇒2013年7月 5日 (金):ビッグデータ・ブームは本物か/知的生産の方法(66)

ビッグデータブームの背景には、IT、とりわけ人工知能分野の発展がある。
アメリカのIBMも今後の重点投資分野として、人工知能にシフトするということである。
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日本経済新聞9月10日

人工知能で思い浮かぶのは将棋ソフトである。
第1回は、2012年1月14日、日本将棋連盟会長の米長邦雄永世棋聖(68)とコンピューター将棋ソフト「ボンクラーズ」が対局し、米長永世棋聖が113手で投了した。
第2、3回は棋士チームとの団体戦で行われ、ソフトが勝利した。
⇒2014年4月27日 (日):電王戦の結果と2045年問題/知的生産の方法(93)

すなわち、過去3回とも人間が敗れているのである。
人工知能にしても、得意な分野と苦手な分野があるはずである。
たとえば、訴訟などで社内に蓄積されている膨大なデータから開示に必要な情報を抽出するなどの作業は、人手だと50時間かかる作業が1分間に短縮されるという。

人工知能の開発史は下図のような経緯を辿ってきた。
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東京新聞9月5日

国立情報学研究所の新井紀子教授らによる「ロボットは東大に入れるか(Todai Robot Project)」プロジェクトは、東大に入れるロボットを製作すること自体が目標ではなく、人間とロボットの棲み分けたを探求している。
⇒2014年1月19日 (日):ロボットが東大に入る日/知的生産の方法(78)
ロボット(人工知能)は、確実にホワイトカラーの仕事を浸食しつつある。
ロボットの学力向上は急速である。

東大入試など楽勝というレベルに達するのも時間の問題である。
そのとき、教育はどうあるべきか?
人間はどういう仕事をしているか?
「キレ」の思考と「コク」の思考は1つのヒントになるのではないかと思う。
⇒2013年2月 2日 (土):センター試験問題の「コク」と「キレ」/知的生産の方法(34)
⇒2013年1月21日 (月):「コク」の思考と『「いき」の構造』/知的生産の方法(31)

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