数独とクロスワードパズル/「同じ」と「違う」(82)
「ロボットは東大に入れるか(Todai Robot Project)」という国立情報学研究所(大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構)が中心となって進めているプロジェクトがあることは紹介した。
⇒2014年1月19日 (日):ロボットが東大に入る日/知的生産の方法(78)
研究のリーダー新井紀子教授に『コンピュータが仕事を奪う』日本経済新聞社(2010年12月)がある。
人工知能(ロボット)が次第にホワイトカラーの仕事を浸食していることについては、すでに触れた。
⇒2014年7月27日 (日):ホワイトカラーの仕事はなくなるか?/技術と人間(3)
⇒2014年9月11日 (木):ロボット(人工知能)とどう共生していくか?/技術と人間(4)
上掲書のなかに、「数独とクロスワードパズル」という項目があって、次のようなアンケートの設問が示されている。
数独とクロスワードパズルは、新聞の日曜版等でお馴染みである。
私も毎週の「週課」としていて、基本的には毎週取り組んでいる。
認知能力の後退の指標にならないか、という発想である。
上記アンケートの解析結果の結論として、以下が示されている。
①数学が不得意だった人は、クロスワードパズルを選び、数学が得意だった人は数独を選ぶ(p=<0.05)。
注)p=<0.05というのは、この結論が偶然である確率が5%未満であること、すなわち統計的に有意差が認められるということである。
②数独を選ぶ人には、「数学」または「現代国語」が得意だった人が多い(p=<0.05)。
③「歴史」が苦手な人は数独を選び、逆に、「歴史」が得意な人にはクロスワードパズルを選ぶ傾向がある(p=<0.025)。
人間には、演繹と帰納という2つの問題解決能力が備わっている。
帰納は、経験やデータに基づく問題解決の方法であり、演繹は根拠と論理に基づく問題解決能力である。
根拠と論理は、クリティカル思考でお馴染みである。
⇒2013年7月12日 (金):治験とクリティカル思考/知的生産の方法(69)
コンピュータはどちらが得意か?
パッと考えると、計算機のイメージから演繹のように思うが、現在のコンピュータは電子「計算機」という訳語は誤解を招きかねない。
機械学習の方法論によって、コンピュータの能力は飛躍的に拡大した。
機械学習をするということは帰納の能力を高めることである。
新井教授は、「一を聞いて十を知る」にたとえて、「一テラを聞いて十を知る」と表現している。
数独とクロスワードの2つのパズルは、新井教授によれば、演繹と帰納という代表的な思考様式を表している。
ちなみに私は数独を選んだが、断然というよりも「どちらかといえば」という感じである。。
私は工学部出身であるが、受験の社会は2科目が課せられており、日本史と世界史を選んだというのは、事実である。
数学が得意だったかと言えば自信はないし、歴史が不得意だったかと言えば少なくともこのブログのタグに設定しているように、日本古代史や世界史の動向は、関心・興味の視野には入っている。
それが「どちらかといえば」というような判断であったのではないか。
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