広島の豪雨災害と本家防災論/日本の針路(29)
またしても集中豪雨による災害である。
記録破りの豪雨があったのは間違いない。
広島市内では20日未明から早朝にかけて急速に雨雲が発達。広島県が安佐北区に設置した雨量計では、午前4時半までの3時間に観測記録となる204ミリとなり、平年の8月1カ月分を上回る雨量となった。
県のまとめでは、20日午前4時までの1時間に、安佐北区三入東で121ミリ、同区可部町上原で115ミリ、同区役所で102ミリの雨を観測した。午前3時20分すぎからは、住民から土砂災害に伴う救助要請が次々と寄せられた。市は午前4時20分ごろから、安佐北区の14地区と安佐南区の7地区に順次、避難勧告を出した。
広島で大規模土砂災害 32人死亡、9人行方不明
1時間に30ミリの雨が降ると、バケツをひっくり返したような、という表現が当てはまるという。
その4倍というのであるから、想像を絶している。
昨年の10月に16日に伊豆大島を襲った台風26号による被害は記憶に新しい。
⇒2013年10月21日 (月):伊豆大島の台風禍/花づな列島復興のためのメモ(269)
また、2011年には紀伊半島で桁外れの降水量を記録した。
⇒2011年9月 6日 (火):台風12号による降水被害/花づな列島復興のためのメモ(3)
今回の広島が記録的な大雨であったことは間違いない。
しかし、1999年6月29日にも豪雨災害が発生している。
「平成11年6月広島豪雨」広島市・呉市土石流災害(1999年6月)
大雨と崩れやすい地質が複合したのである。
広島県は、土砂災害危険箇所が全国で最も多い地域。
その理由は、「まさ土」という特徴的な地質にもあった。
広島市周辺の地質分布図を見ると、ピンク色の地域は「広島花こう岩」という岩石で、広く県内の山地を覆っている。
広島花こう岩が、長い間、雨や風にさらされると、まさ土と呼ばれる土に変化する。
まさ土は、水を含むと非常にもろく、崩れやすくなる性質がある。
防災システム研究所の山村武彦所長は「(まさ土)は、一定量、水はけもいいし、保水能力がある。ところがそれを超えてしまうと、一気にどっと崩れやすい土ですね」と話した。
国土交通省によると、広島県は、斜面の表面を広くこのまさ土が覆っているため、大雨が降ると、土砂災害が発生しやすい状況となってしまうという。
広島市土砂崩れ 15年前にも豪雨で多数の土砂災害
つまり当該地域は、潜在的に災害の発生しやすいところであったと言える。
中国山地についてWikipediaに以下のような記述がある。
中国山地の花崗岩は、風化してマサ(真砂)と呼ばれる砂粒となる。マサの地盤は非常に不安定で、土砂崩れを引き起こしやすい。そのため、中国山地は砂防区域が多い。河川に大量に流れたマサは、海へ出ると砂浜や砂丘を形成する。鳥取砂丘や瀬戸内海の白砂青松は、花崗岩を起源とするマサによるものである。
かつてはこのような場所を避けて家を建てていたであろう。
それが人口圧力等により、次第に条件の悪い場所に建てるようになった。
被災地はいわゆる新興住宅地である。
静岡新聞8月20日夕刊
私は、災害の階級性や「本家防災論=本家が立地するような場所に災害は起こらない」を思わざるを得なかった。
⇒2009年7月24日 (金):集中豪雨禍と本家防災論
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