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2014年8月22日 (金)

続・朝日新聞社はどうなっているのか?/ブランド・企業論(30)

私は子供の頃から親しんできた朝日新聞に、大分前から違和感を覚えるようになっていた。
いつからか定かではないが、もう20年以上位経つのではないか。
⇒2012年7月12日 (木):民自公翼賛体制と朝日新聞の変質/花づな列島復興のためのメモ(108)
⇒2013年10月14日 (月):朝日新聞社はどうなっているのか?/ブランド・企業論(3)

その朝日が、宿敵(?)の産経新聞や出版社系週刊誌から、ここぞとばかりに叩かれている。
いわゆる従軍慰安婦問題の報道が、事実に反する部分を含んだ虚偽報道であったということについてである。
報道は、1991年8月11日の朝日新聞にて、元朝日新聞記者植村隆氏(当時韓国特派員)により行われたのが最初である。
記事は、一部の著名人より問題点の指摘を受けるも、訂正、修正は長らく行われなかった。
しかし、2014年8月になり、朝日新聞は記事の一部に誤用(挺身隊との混同)があったとする検証記事を報道した。

これにたいして、たとえば右派の論客である櫻井よし子は次のように語っている。

 朝日新聞の姿勢として極めておかしなことがある。何故に、日本国の過去と現在と未来に対してこんなひどい中傷や言われなきことを報道した責任について、社長自ら、もしくは編集局長自ら表に出てきて釈明し謝罪しないのか。
 5日の1面には、朝日があたかも被害者であるかのようなことを書いている。「言われなき中傷」を浴びたのは日本国だ。先人たちだ。私たちだ。未来の子供たちだ。朝日ではない。
 最初に吉田清治証言が出たのは32年前。朝日はこの32年間にどんな記事を書いてきたかを明らかにするのが先決であろう。それによって世論を動かしたのだから。テレビを動かしたのだから。韓国を動かし、世界を動かし、日本をおとしめたのだから。
櫻井よしこ氏「朝日新聞は謝罪すべき」 議員連盟での講演要旨

「週刊新潮」や「週刊文春」誌も特集を組んで批判(非難)している。
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「週刊新潮」最新号目次

櫻井氏と週刊誌の見事なコラボレーションである。
アンチ朝日が勢いづくのは理解できなくもないが、従軍慰安婦問題も、泥憲和氏等の発言を読めば右派の騒ぎ立てるのもどうかと思う。
【従軍慰安婦の真実】
泥氏については、以下参照。
⇒2014年7月30日 (水):日本国憲法と防衛戦略/日本の針路(15)
⇒2014年7月13日 (日):集団的自衛権と自衛隊員/日本の針路(8)

産経新聞は、朝日がスクープした「吉田調書」を巡っても批判している。
⇒2014年5月22日 (木):「吉田調書」を全面開示して真相解明の一歩に/原発事故の真相(114)
8月19日の「産経抄」は次のように書いている。

▼たとえば、最大の危機を迎えた平成23年3月15日朝、所内で何が起こっていたのか。朝日は所員の9割に当たる約650人が、吉田氏の待機命令に違反して、福島第2原発に撤退した、と報じた。パニックに陥った職員が、一斉に職場放棄する。そんな光景が、目に浮かぶような記事である。▼しかし、調書を素直に読めば、実態はまったく違う。吉田氏によれば、あくまで命令の伝言ミスであり、「命令違反」の認識はなかった。第2に退避した所員の多くが、昼頃までに戻っているのが、何よりの証拠だ。調書でむしろ目立つのは、現場で奮闘する職員に対する、吉田氏の称賛の声である。▼朝日の記事を引用して、韓国ではセウォル号事故と同一視する報道もあったという。門田隆将(りゅうしょう)さんが指摘するように、慰安婦報道と同じ構図である。▼職務を全うした職員の名誉のためにも、政府は吉田調書の全文を公開すべきだろう。吉田氏が、強い憤りを込めて「あのおっさん」と呼んだ菅直人元首相まで、賛成しているのだから。

私は、マスメディアの主張や見解が異なることは大歓迎である。
記者クラブ的のように、仲良くするよりはずっといい。
しかし、産経はあたかも鬼の首を取ったかのようなはしゃぎぶりである。
あまり調子に乗り過ぎない方がいいだろう。
海外メディアはどう見ているか。

 その一方で、フィナンシャル・タイムズ紙は、日本の右傾化・保守化という面から、今回の事件を眺めている。
 同紙は、朝日が誤りを認めたことで、修正主義者安倍首相の登場で、近年より声高になった右翼の中に、怒りと満足感の入り混じった気持ちが広がったとする。
・・・・・・
 そして最後に、右翼が大胆になり、日本の国際的地位を傷つける可能性に警鐘を鳴らす、慶応大学の歴史社会学専門家、小熊英二氏のコメントを引用している。
「日本の保守派には、軍人や役人が直接に女性を連行したか否かだけを論点にし、それがなければ日本には責任がないと主張する人がいる。」「そうした主張が見苦しい言い訳にしか映らないことは、『原発事故は電力会社が起こしたことだから政府は責任がない』とか『(政治家の事件で)秘書がやったことだから私は知らない』といった弁明を考えればわかるだろう」
朝日慰安婦記事撤回、勢いづく右派に懸念 問題の本質は変わらない…英紙報道

朝日の姿勢も問題だとは思うが、「日本の右傾化・保守化」傾向も深刻な問題である。
⇒2014年6月 7日 (土):今こそ必要な『暗黒日記』のクリティカル思考/知的生産の方法(96)
⇒2014年8月 8日 (金):再び暗い時代に逆行しないために/日本の針路(23)

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