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2014年8月 3日 (日)

佐世保女子高生殺人事件は防げたか?/日本の針路(19)

長崎県佐世保市で、15歳の高校1年生の女子生徒が、クラスメイトの16歳の少女に殺害されるという事件が起きた。
加害者・被害者共に未成年であり、慎重に考えるべきだろうが、いたずらに目を背けるわけにもいかないと思う。
事件の概要は以下の通りである。

 すでに報道されているとおり、殺害された女子生徒と容疑者少女は友人関係。少女が一人暮らしをする自宅マンションに連れ込み、ハンマーで頭を殴打。その後、ひも状のもので首を絞め窒息死させた。さらに、ノコギリで首と左手首を切断し、腹部も大きく切り裂かれていたという。

佐世保市は、長崎県で2番目の都市である。
人口約25万人程度の地域の中核市で、「非県都」としては比較的大きな規模を持つ都市である。
旧海軍の軍港として有名な港町であり、現在も造船および国防の町として知られる。Photo
佐世保市

報道は一種の猟奇的な事件として扱われている。
確かにそういう面があるのは否定できないし、小動物の解剖や化学薬品に興味があったことなどから、伊豆の国市のタリウム事件との類似性が指摘されている。

 佐世保の事件の容疑者少女は、小学6年の時に、給食に漂白剤を混ぜる問題行動を起こしている。中学に入ると小動物の解体実験にハマっていたという報道もある。
 静岡の事件においても、犯人の少女は、薬局から入手した劇物であるタリウムを母親の食事に混ぜ、衰弱していく様子を観察日記としてインターネットに記録していた。ハムスターや金魚などを解剖していた点も共通項がある。さらに、静岡の少女は、学校では成績優秀で化学部に所属しており、今回の事件の加害者少女も、成績は東大を目指すほど優秀であったと言われている点も似ている。

リケジョ予備軍なのだろうが、これらの事象を関連付けて論ずるのは短絡的だろう。
しかし、注目すべきなのは、逮捕された少女を知る精神科医が、6月に佐世保こども・女性・障害者支援センター(児童相談所)に「このままでは人を殺しかねない」という趣旨の相談をしていたという報道である。

 同センターはその際「助言した」としているが、精神科医が少女の実名を明かさなかったことから、関係機関に連絡するなどそれ以上の対応はしなかったという。
 県関係者によると、精神科医は少女が過去に給食への洗剤混入や猫の解剖、父親をバットで殴ったことを知っており「このままでは人を殺しかねない」という内容を告げたという。
 同センターは相談内容について「個人情報の保護と守秘義務がある」として明らかにしていない。
高1同級生殺害:6月、医師が「人を殺しかねない」

まあ、結果論ではあろうが、センターが何らかのアクションを取っていれば、事件は防げたのかも知れない。
「精神科医が少女の実名を明かさなかったこと」を不作為の理由にすることは、「個人情報の保護と守秘義務がある」から当然ではないか。
何となくセンターの面倒なことには介入したくないという姿勢が見えるような気がする。
児童相談所に持ち込まれる案件は、未然の段階で対応する方がいいに決まっている。

私は報道を聞いたとき、先ず第一に父親の行動に疑問を抱いた。

 関係者によると、父親は都内の有名私大卒で佐世保市の名士。冬季競技のアマチュア選手としても活躍し、全国規模の大会に毎年のように出場していた。女子生徒も同じ競技に親しみ、女子生徒と同じ高校から父親と同じ私大に進んだ兄も選手として活動、母親はこの競技の連盟会長を務めていたという。
・・・・・・
 今年5月、女子生徒は幼なじみの女性(17)に「お母さんが亡くなって、すぐにお父さんが別の人を連れてきたから、お母さんのこと、どうでもいいのかな」と落ち込んだ様子をみせていた。この女性は「新しいお母さんになじめなかったようだ。家にいづらくなり、1人暮らしを始めたと思う。親のストレスが事件の一番の原因では」と振り返った。
超エリート一家が… 複雑な環境が猟奇的行動の遠因に 佐世保の同級生殺害

父親は市内で法律事務所を経営する弁護士だったというが、弁護士が市の名士として扱われるのは一般的である。
今回の事件の前に父親をバットで殴打してかなりの怪我を負わせているという。
にもかかわらず、マンションで一人暮らしをさせるという感覚が分からない。

それに再婚の段取りである。
詳しい事情が分からないで言うのは慎むべきだろうが、妻が亡くなって(昨年の10月という)今年再婚というのはいかにも早過ぎるのではないか。
もっとも、女子生徒の弁護人は、接見で報道内容を聞いた少女が驚き、訂正を求めたという。

 弁護人は、接見で直接聞いた内容として、少女は(1)父の再婚には賛成だった(2)父を尊敬している(3)母が亡くなって寂しく、新しい母親が来てうれしかった(4)すぐに慣れ、仲良くしていた-と文書で指摘。被害者についても「仲の良い友だちだった。本当に良い子だった」と述べたと明らかにし、トラブルや恨みはなかったとした。
少女側、報道に“反論”

私もそうなのだと自戒するが、とかく第三者は自分の理解したいように理解しがちである。
冷静で客観的な報道を待ちたい。

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