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2014年8月 1日 (金)

水に学ぶ/日本の針路(17)

8月1日は「水の日」、7日までが「水の週間」である。
水資源の大切さを、学び・知ろうという趣旨だ。

静岡県の沼津市と三島市の間の清水町に、柿田川という一級河川がある。
かつて、柿田川の水目当てに、石油コンビナート計画が立てられたことがあった。
地域住民等の反対で、計画がとん挫し、現在も清冽な水環境が保全されてる。
⇒2014年7月20日 (日):石油コンビナート阻止闘争50周年/技術と人間(1)

現在でも、100万㎥/日≒10㎥/秒の湧水量があると言われるが往時はもっと多かったという。
上流域での取水等により減少した。
⇒2009年7月29日 (水):湧水量の減少の原因と影響

富士山への降水が、地下水あるいは伏流水となって、この地点で湧出する。
国道1号線のすぐ脇に水源地がsるというのも他に例がないのではないか。
⇒2009年7月31日 (金):富士山湧水の湧出モデル

初めて見る人は大いに感激する。
全長はわずかに約1.2kmで、日本で最も短い一級河川であるが、長良川、四万十川とともに日本三大清流に数えられている。
1985年に名水百選に選定された。

柿田川の横にある柿田川公園に水神を祀る貴船神社がある。
本家(総本社)の京都に比べるべくもないが、鳥居の前に「水五訓」の石碑が建っている。
「水五訓」は、大河ドラマでお馴染の『軍師官兵衛』によるとの説もあるが、出家してからの号・如水からのこじつけらしい。
⇒2014年7月 7日 (月):三島北高校のグローバル人材教育/日本の針路(5)

如水といえば、「上善如水」という言葉がある。
日本酒の銘柄として知られている。
良い酒は、限りなく水に近いものだ、というパラドクスのような話を聞いたことがあるが、原典は『老子』「老子」である。
「上善」とは、理想的な生き方のことで、そういう生き方をしたいと願うならば、水のあり方に学べということである。
学ぶべき「水」の特徴とは、以下のようなものだと書いている。

一つは、その柔軟な性質である、
四角な器に入れれば四角な形になり、丸い器に入れれば丸くなる。
器に逆らうことなく形を変える柔軟さである。

二つは、水低いところに流れていく。
低いところに身をおくのは嫌なものだが、謙虚な姿で、自分の能力や地位を誇示しようとしない。

三つは、内なる大いなるエネルギーを秘めていることである。
緩やかな流れは、人の心を癒す力を持っているし、速い流れは、硬い岩をも砕く力強い力も持ってる。

このような水の特徴に学べば、理想の生き方に近づくということである。
大岡信さんに『故郷の水へのメッセージ』という詩がある。
三島市の桜川沿いの水辺の文学碑に刻まれている。

地表面の七割は水
人体の七割も水
われわれの最も深い感情も思想も
水が感じ 水が考へてゐるにちがひない

水は地球上において普遍的な物質であるが、同時に生命維持に不可欠の物質でもあることを、見事なレトリックで表現している。
私たちは、「地表面の七割は水」であることに慣れてしまい、「人体の七割も水」であることを忘れがちである。

水は地球上を循環しているが、利用可能な淡水は偏在しており、かつ表流水の六割が国境をまたぐ河川を流れる。
「日本人は水と安全はタダと考えている」と批判されたことがあったが、「21世紀は水争いの世紀」と言われるように、水は戦略的資源になっているのである。

考えてみれば、液状の水が存在するのは奇跡に近い。
引力と水の物性(沸・融点、比重など)との絶妙なバランスの結果であるが、存在するのが難しいという意味においても、水は「有難い」物質といえよう。
そして、水こそ、グローカルすなわち、グローバル&ローカルな存在である。
上善を目指して、水に学びたいと「水の日」に思った。

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