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2014年7月19日 (土)

親子関係をどう捉えるか?/人間の理解(5)

DNA型鑑定で血縁がないことが明らかになった場合、それまでの父子関係を取り消すことができるか?
17日、最高裁の判断が示された。
血縁よりも「子の法的な身分の安定」を重視するという結論である。
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静岡新聞7月18日

 5人の裁判官のうち、2人はこの結論に反対した。父子関係を116年前に定義した民法の「嫡出(ちゃくしゅつ)推定」=KM=が、現代の科学鑑定で否定されるかが最大の争点だった。この日の判決では複数の裁判官が、新たなルール作りや立法などを求める意見を出しており、親子関係をめぐる議論が高まりそうだ。
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DNA鑑定だけで父子関係取り消せず 最高裁が初判断

裁判官の意見が3:2に分かれたように、明快には決められない問題であろう。
しかし、DNA鑑定至上主義的な風潮があるとすれば、それに反省の契機を投じたという点で評価できるのではないか。
人間の家族関係は、DNAで代表される生物学的親子関係だけではないからである。
家族は社会のもっとも原初的な形態と考えられる。
つまり社会性を考慮しなければならないという点で、他の生物とは一線を画している。

現実の親子関係は多様である。
生物学的な親子関係が存在していても破綻している場合もあるし、生物学的な親子関係がなくても睦まじく暮らしている場合もある。
要はケースバイケースである。
⇒2014年6月12日 (木):DNA鑑定とアイデンティティ/知的生産の方法(97)

多様な現実に則した判断が可能なように立法措置を講じる必要がある。
何よりも子供の利益を優先して判断すべきで、親の事情は、そのことにどう影響するかで勘案すべきだろう。
反対意見の金築誠志裁判官の「夫婦関係が破綻して子の出生の秘密が明らかになっている上、血縁上の父親と新たな親子関係を確保できる場合には、元の父子関係を取り消すことを認めるべきだ」という指摘はその通りだと考える。

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