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2014年7月21日 (月)

川内原発を再稼働させるのか?/技術論と文明論(2)

「おかたづけちゃんとしてからつぎのことしましょう」という先生の声  俵万智

「原発再稼働を問う」という東京新聞の特集ページに載っている『海辺のキャンプ』と題する中の一首。
原子力規制委員会は16日の定例会合で、九州電力川内原発1、2号機の審査で、地震・津波などの自然災害や重大事故に対応できる安全性を要求する新規制基準に「適合していると認められる」とする審査書案を提示し、了承した。
安倍政権は、原子力規制委が規制基準への適合性が確認され、地元の合意が得られた原発は再稼動させる方針を表明している。
川内原発はこのまま再稼働に向かって進むのだろうか?

簡単にはそうは進まないだろうし、進ませるべきでもない。
先ず第一に地元の合意である。
鹿児島県の伊藤祐一郎知事は地元の範囲について「県と薩摩川内市、首長と議会」との見解を示している。
しかし影響を受けるのが確実な自治体の声を無視するわけには行くまい。
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原発から30キロメートル圏内にある姶良市の市議会が「川内原発の1、2号機の再稼働に反対し廃炉を求める」意見書を可決した。
姶良市議会議長は、日本経済新聞の取材に対し、以下のように答えた。

 ――鹿児島県の伊藤祐一郎知事は、再稼働への地元同意は県知事と県議会、薩摩川内市長と市議会で十分で他の自治体は必要ないとしています。
 「伊藤知事は体の不自由な要援護者の避難計画についても県が定めた30キロ圏は現実的でなく、10キロ圏ぐらいまで作っておけばいいといっている。健常な人だけ逃げれば良いのか。県が策定した避難計画のシミュレーションでも、平時のみを想定したような内容が多い。乗用車での避難を前提にしているが、運転できない人はどうなるのか。避難計画で示された避難経路も、地震による崖崩れや津波で実際には使えないと想定される。全部でないが、不備が目立つ」
川内原発再稼働「反乱」の真相 姶良市議会議長に聞

われわれは、福島第一原発事故の教訓に学ばなければならない。
安倍政権は新規制基準を「世界で最も厳しい水準」とし、合格原発は再稼働を進める方針だが、基準に合格するということは、再稼働のための必要条件ではあろうが十分条件ではない。
⇒2013年7月 9日 (火):規制委の安全性審査は必要条件ではあるが十分条件ではない/花づな列島復興のためのメモ(243)

福島の教訓を学ぶということは、規制基準を厳しくすることは当然であるが、万が一事故が起きても住民の被害を食い止める手立てを整えておくことであろう。
事故が起きた場合の防災体制の整備は、姶良市議会の決議が示すように明らかに遅れている。
伊藤鹿児島県知事は「30キロ圏までの要援護者の避難計画は現実的ではない」と発言している。
これは、対象となる要援護者の数が増え、避難手段や受け入れ先の確保が難しいことが背景にあるといわれる。
しかし、図らずも事故が起きた時の影響の大きさを語っているといえよう。

国際原子力機関(IAEA)は原発事故対策として「5層の防護」を定めている。
新規制基準については、IAEAなどの国際基準にならい、第4層から第5層の防護レベルを含めた5層の考え方を取り入れている。
Iaea5
深層防護(5層)による安全確保の強化

福島第1原発事故後、政府は事故に備えた重点対策区域を原発から8〜10キロ圏から30キロ圏に拡大した。
ところが、第5層の防災対策は災害対策基本法で自治体任せにされ、規制委の審査対象から外れているのだ。
規制委の審査合格が十分条件ではないことは明らかであろう。
福島原発事故の「おかたづけ」もしないうちに、「次のこと」をしてはいけないのは、子どもでも分かる道理である。

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