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2014年7月20日 (日)

石油コンビナート阻止闘争50周年/技術論と文明論(1)

沼津、三島、清水3市町への石油コンビナート進出計画の阻止から今年で50年の節目を迎えた。
のちの市民運動に大きな影響を与えたといわれる反対運動を記念する集会が沼津市で、6月7日開催された。
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沼津朝日新聞6月11日

日本には石油コンビナートとされるものは石油化学工業協会の見解では15箇所あるが、製油所、エチレンプラント、誘導品工場の3種類がそろっているのは13箇所で、三菱化学の四日市、三井化学の岩国大竹は該当しない。
石油コンビナートは、高度経済成長を象徴するものである。
1956年(昭和31)年7月に発表された経済白書(副題日本経済の成長と近代化)の結語には、太平洋戦争後の日本の復興が終了したことを指して《もはや「戦後」ではない》と記述され流行語にもなった。
白書作成の指揮を執ったのは、経済企画庁の調査課長であったエコノミストの後藤誉之助である。
戦後復興がある程度実り、さらなる成長のためには「軽工業から重化学工業への転換」が必要で、石油コンビナートにその中心的役割が期待された。

1956年、川崎市、四日市市、岩国市、新居浜市の4ヶ所に建設が決定され、それぞれ日本石油化学、三菱油化、三井石油化学工業、住友化学工業が中核業者となった。
1958年には、三井化学・岩国、住友化学・新居浜が稼動した。
1960年代前半までは、石油化学産業は日本の将来を担う産業として期待されていた。
私は1963年に大学に入学するが、必ずしも自分の能力に最適だとはいえない工学部の工業化学系の学科を選択したのも、そのような事情があったからである。

私が大学に入学した年に、静岡県から工業整備特別地域に指定された東駿河湾地区に、石油コンビナート建設計画が発表された。
三島市中郷地区に富士石油が日産処理能力15万バーレルの製油所をつくり、そのナフサの供給をうけて住友化学が清水町にエチレン年産10万トンをふくむ16品目の石油化学工場を設立する。
他方で東京電力が富士石油の重油で140万キロワットの火力発電所を沼津市の牛臥海岸埋立地に建設しようという内容だった。
四日市をうわまわる規模で、当時の一般的な風潮とすれば、地域の発展のために歓迎するはずであった。

 石油関連企業にとって、港湾をちかくにひかえ、用水が豊富で、しかも京浜地帯にも遠くないこの地域は垂涎(すいぜん)の好条件をそなえていた。しかし、県当局と企業との一体化した誘致=進出運動にもかかわらず、三島市・沼津市・清水町住民によるコンビナート進出反対の統一行動は、その計画を粉砕した。それまでおもいのままにつきすすんできた高度成長政策下の開発計画は、王手をかけてたちはだかった二市一町の住民にはばまれたのである。
 いちはやく反対を表明したのは、さきに東洋レーヨンを誘致した結果、水不足になやみ、工場進出に疑念をいだいていた三島市民だった。反対運動をもりあげていったのは婦人連盟(婦人会)と町内会長連合会である。石油コンビナート対策三島市民協議会に、青年団や文化団体とともに参加したかれらは、公害先進地の四日市などの実態を視察して報告し、あるいは住民にコンビナート建設の賛否を問うアンケート調査をおこなって、82%が゛反対゛という結果を発表した。39年(1964)4月の婦人会・町内会長連合会合同臨時総会では、石油コンビナート進出絶対反対が決議された。
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石油コンビナート反対闘争

まさに名水で知られる柿田川などの豊富な水をアテにした計画であった。
三島市民が反対に立ち上がったのは、市内の小河川の水量の減少を身に沁みて体感していたからである。
⇒2009年7月28日 (火):三島市内における湧水量の減少/因果関係論(4)
⇒2009年7月29日 (水):湧水量の減少の原因と影響

三島市では、特定非営利活動法人グラウンドワーク三島を中心として、水と緑の環境保全に市民が大きな力となっている。
⇒2009年4月24日 (金):水の都・三島と地球環境大賞

この50年間で日本の産業の風景も大きく変わった。
先日大学の同期会があったが、化学産業の前衛として活動してきた友人たちも、第一線から引退しつつある。
私は在学中にコンビナート計画が現実化すれば、と思ったこともあるのは事実であるが、もちろん今となっては豊かな自然が残っている住環境を有難いと思っている。

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世界皇帝 ディヴィッド・ロックフェラー 死亡 金星人(-) 毎年8,9,10月が大殺界 広島、長崎への原爆投下を今も謝罪しないアメリカに、反アメリカ感情を今こそ噴出せよ。 アメりカの洗脳広告代理店である電通を使った、テレビ、新聞、週刊誌、ラジオ等の、見事な洗脳に晒され続ける日本人は、自分自身の脳、すなわち思考そのものを点検せよ! 我々はハッ、と気付いて用心し、注意し、警戒すれば騙されることはない。 すべてを疑うべきなのだ!

投稿: 脱洗脳報道なら副島隆彦の学問道場 | 2014年8月 4日 (月) 11時56分

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