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2014年6月22日 (日)

内苑と外苑/「同じ」と「違う」(78)

「外苑」という言葉で思い浮かべるものは何であろうか?
私は、さしあたって地下鉄の駅名の「外苑前」である。
銀座線の青山一丁目駅と表参道駅の間である。
明治神宮外苑前の意味であるが、神宮球場や国立競技場などの大規模運動施設が集中するエリアである。
2020年東京オリンピックのメイン会場となる予定の新国立競技場のデザインや規模をめぐってホットな論議が行われている場所である。
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地下鉄「外苑(前)」駅は固有名詞であるが、「外苑」はそもそも普通名詞である。
皇居や神社の外にある付属の庭園の事を言う。
対応する語は「内苑」である。
内苑=宮城・神社などの中庭⇔外苑

明治神宮(Wikipedia)には、以下のように説明されている。

明治神宮は、明治天皇と昭憲皇太后を御祭神とする神宮である。
面積約70万平方メートルの境内はそのほとんどが全国青年団の勤労奉仕により造苑整備されたもので、現在の深い杜の木々は全国よりの献木が植樹された。また、本殿を中心に厄除・七五三などを祈願を行う神楽殿、「明治時代の宮廷文化を偲ぶ御祭神ゆかりの御物を陳列する」宝物殿、「御祭神の大御心を通じて健全なる日本精神を育成する」武道場至誠館などがある。
明治天皇は崩御後、京都の伏見桃山陵に葬られたが、東京に神宮を建設したいとの運動が天皇を崇敬する東京市民(当時)から起こり、1914年(大正3年)になると天皇に縁の深かったこの地への神宮建設が決定した。造営は翌1915年(大正4年)から開始され、全国から13,000人もの国民が労力奉仕に自発的に参加した。鎮座祭は、1920年(大正9年)11月1日に行われた。
22万坪(約73ヘクタールに及ぶ広大な神域は、江戸時代初めには肥後藩藩主・加藤家の別邸であり、寛永17年(1640年)より彦根藩藩主・井伊家の下屋敷となっていたもので、この土地が1874年(明治7年)、買い上げられて南豊島御料地となっていた。
明治神宮は2010年(平成22年)現在、初詣では大晦日から正月三が日の間で300万人前後にものぼる日本一の参拝者を集めることでも知られる。

明治神宮は、伊勢神宮、霧島神宮などに比し、ずいぶん歴史の新しい神宮である。
深い森に包まれているという印象だが、元々は森がない荒地であった。
神社設営のために人工林を作ることが必要となり、造園に関する多彩な学者が集められた。
「明治神宮御境内 林苑計画」が作成されたが、現在の生態学でいう植生遷移(サクセッション)という概念が林苑計画に応用された。
有名なイチョウ並木などのデザインもこの時に行われたものである。

神宮「外苑」は、「明治神宮」そのものの「内苑」とセットになるものである。
神宮外苑は「明治神宮」の外の苑、外苑として建設された。

この2つは、地理的に見ると「内と外」の関係には見えません。明治神宮は、東京都渋谷区代々木にありますが、神宮外苑は位置的には東京都新宿区となります。外苑の一部は港区にもまたがっており、その敷地はとても広大です。ちなみに、外苑ははっきりとした区画がされておらず、「外苑」自体の具体的な住所もありません。この点は内苑と外苑で異なります。何も知らない人が見れば、神宮外苑と内苑というのは隣り合っているわけでもないし、関係ないのではないか?と思ってしまうかもしれませんが、神宮外苑は「神宮内苑」つまり「明治神宮」あっての外苑なのです。内苑は神社を基調としており、宝物展示館などの文化展示施設のある和風の庭園であるのに対し、神宮外苑は洋風の庭園となっており、多くのスポーツ施設や文化施設が設置されている事が特徴となっています。
http://www.fnbashford.com/01/

「週刊現代」誌に連載中の中沢新一氏の「アースダイバー」(5月24日号)・『外苑とは何か(1)』によれば、「代々木にある内苑とはうってかわって、ここは徹底的に未来志向型の公園空間としてつくられることになった」。
中沢氏は、内苑と外苑は、それぞれを成り立たせる原理が違い、内苑は「隠れる」ことを原理とし、外苑は「見せる」ことを原理としているという。

この2つは、地理的に見ても、「内と外」の関係とは言い難いが、内苑あっての外苑なのである。

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