炉内未使用プルトニウムの報告漏れ/原発事故の真相(116)
各国は国際原子力機関(IAEA)に、プルトニウム保有量を報告することが義務づけられている。
しかし日本は、2012年以降原子炉燃料内のプルトニウムを含めていないという。
東京新聞6月8日
プルトニウム(Plutonium) は、原子番号94の元素であるが、ウラン鉱石中にわずかに含まれている以外は自然界には存在しない。
放射性元素で、半減期はプルトニウム239の場合約2万4000年である。
プルサーマル発電におけるMOX燃料としても使用されるが、主に核兵器の原料に使われるため、厳重な管理が国際的な了解事項である。
政府は意図的な過少報告でないとしているが、兵器転用可能なプルトニウムが実態通り報告されておらず、国内外の専門家は日本の認識の甘さを指摘している。日本が保有するプルトニウム総量は約四十四トンとされてきたが、実際は約四十五トンに上る。
問題のプルトニウムは九州電力玄海原発3号機(佐賀県)の混合酸化物(MOX)燃料に含まれる六百四十キロ。一一年三月、定期検査中の原子炉に入れられたが、原発事故を受け、運転再開できず炉内に置かれたままだった。二年後の一三年三月、未使用のまま炉から抜き取られ、今も燃料プールに保管、IAEAの査察対象となっている。しかし政府は一二年、全国の原子炉施設にある一一年末時点の未使用プルトニウム量について、一〇年末の二・二トンから一・六トンに減らしてIAEAに報告。玄海3号機の炉心にMOX燃料を入れたことが理由で、昨年も一・六トンで報告している。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014060802000097.html
原子力委員会事務局は「炉内にある燃料は使用中と見なし、以前から報告対象外としている。
しかし、それが趣旨に沿っていると言えるのか疑問である。
オリ・ヘイノネン元IAEA事務次長は、「どこにあろうが未使用のプルトニウム。報告に反映すべきだ」としている。
福島の事故が起きた以上、放射性物質の管理・情報公開に関しては、事故以前よりナーバスになってしかるべきである。
ところが日本の政府を含む原子力ムラの人たちは、まったく逆の方向に意識が向いているらしい。
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