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2014年5月 9日 (金)

理研は説明責任を尽くしているか?/知的生産の方法(94)

理化学研究所(理研)は、8日、理事会を開き、「STAP細胞」論文不正問題について、小保方晴子・理研研究ユニットリーダーが求めていた再調査をしないことを決め、論文不正が確定した。
理研は小保方氏に結果を通知し、論文の取り下げを勧告すると共に、懲戒委員会を設置し、小保方氏らの処分を決める。
小保方氏側の主張と理研調査委の結論は以下の通りである。
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万能細胞:STAP論文問題 不正確定 小保方氏の反論却下 理研調査委「悪意明らか」

1つの組織の機関決定ではあるが、ある意味で社会問題化しており、さまざまな論議を呼ぶことになるのではないか。
理研の規定は、研究不正について、「悪意のない間違い及び意見の相違は含まない」とある。
このため、小保方氏側は画像の不備について「過失であり、不正でない」と訴えた。
調査委は「悪意」について「偽装など加害目的のような意図を必要とするものではない。故意と同じ」と説明した。
また、渡部委員長は「小保方氏側に『悪意』という言葉に誤解があった。同じ規定で、一般的な意味で『悪意』という言葉を使った記載もあり、規定の文言にも問題がある」と述べた。

しかし、理研の説明は、十分に説明責任を果たしてはいないような気がする。
「規定の見直しを検討する」と表明するなど、言葉遣いが混乱を招いたことを認めていながら、今後改定するとして処分するとしたら一方的ではないか?

「改ざん」とされた画像は、小保方氏は二つの実験を切り張りした事実を認めたものの、「結果自体は影響を受けない」と主張した。
だが調査委は「小保方氏が一方の画像の大きさを科学的な考察や手順を踏まずに目で見て調整した結果、真正な画像でなくなった」と、その主張を退けた。
疑惑を指摘されて調査委委員長を辞任した石井俊輔・理研上席研究員らの論文についてはどうなのか?
問題なしとするなら、そのことを説明すべきではないか。

「捏造(ねつぞう)」との認定には、小保方氏は「取り違えで、単なる過失」と訴えていた。
しかし、調査委は、米「サイエンス」誌への投稿に際しても同じ画像を使うなど、画像の由来を確認する機会があったのにしていなかったとして、以下のように認定した。
「異なる実験のデータである可能性を認識しながら使用していたと考えられ、失念したとは言えない」と結論づけた。
この点は、小保方氏に不利な点だと思われるが、「失念したとは言えない」ことを積極的には立証できないのではないか?

調査委は、小保方氏が不服申し立て後、調査委が求めた資料の提出を拒んだことを明らかにし、「弁明の機会を自ら放棄した」と指摘した。
また、小保方氏が聞き取りに応じず、医師の診断書の提出もしなかったと批判した。
この辺りのやり取りは、当然弁護士が介在していて、弁護士の判断も加わっているのではないか。

記者会見で、調査委の信頼性を問う質問も相次いだが、川合真紀・理研理事は「規定にのっとって審査しており、誰が委員であっても結論は変わらない」と強調した。
しかし、印象でいえば、理研は幕引きを急いでいるようである。
これでは、表面的な問題にケリがついたとしても、今回のような問題が起きた構造に切り込んでいないのではないか。

小保方氏が未熟な研究者であったことは本人も認めていることであり、公表された実験ノートの断片からも窺える。
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万能細胞:STAP論文問題 再調査せず 小保方氏申し立て退け 理研調査委方針

しかし、未熟と「不正」は明らかに異なる。
研究者の未熟性が不正と等しいというのならば、そのような未熟な研究者にリーダーの立場を与えた理研、一流誌に投稿した共著者ち、の責任が問われるべきではないか?
早急に結論を出すのではなく、じっくりと誠実さが感じられるような調査をして欲しかった。

小保方氏側は、法廷の場に持ち込むと言われている。
しかし、科学の真理と法的正義は根本の論理が異なる。
本来敵対的ではないはずの両者が、法廷で争うのはいかにも残念なことである。

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