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2014年5月17日 (土)

汚染水は完全にブロックされている?/原発事故の真相(113)

集団的自衛権行使が必要な場合を、安倍首相がパネルを用いて熱の入った説明をした。
納得的であったか?
私はそうは思わないが、人によって感じ方はそれぞれであろう。
安倍首相の熱意は伝わってくるが、言葉に酔っているのではなかろうか?

安倍首相が、東京オリンピック招致のプレゼンにおいて、福島原発事故は「状況はコントロールされている」「汚染水は港湾内で完全にブロックされている。健康問題は今もこれからも全く問題ないことを約束する」とスピーチしたことは記憶に新しい。
⇒2013年9月 6日 (金):オリンピック招致と福島原発事故/原発事故の真相(82)
⇒2013年9月24日 (火):「嘘も方便」首相と日本の将来/花づな列島復興のためのメモ(264)

しかし、コントロールされている状況とは言えないことは明らかだった。
⇒2013年10月23日 (水):汚染水の流出は止められるか?/原発事故の真相(91)
周りの人間が、王様・安倍に、的確な情報を伝えないのかとも思う。
⇒2013年10月17日 (木):安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(16)

福島原発事故から漏れ出ている汚染水は、今でもコントロールされているとは言えない。
国は財団法人海洋生物環境研究所などに委託し海水中の放射性セシウム137濃度などを高精度で分析してきた。
原子力規制委員会が公開した、福島第一の沖合30キロ付近のデータを元に、東京新聞が作成したグラフが、5月17日の同紙に載っている。
Photo

2011年の事故で、福島沖の同地点の濃度は直前の値から一挙に最大20万倍近くに急上昇した。
半年後には1万分の1程度にまで急減したが、2012年夏ごろから下がり具合が鈍くなり、事故前の水準の二倍以上のの水準で一進一退が続いている。
福島第一から外洋への継続的なセシウムの供給があることを意味している。

福島沖の濃度を調べてきた東京海洋大の神田穣太教授は、「溶けた核燃料の状態がよく分からない現状で、沖への汚染がどう変わるか分からない。海への汚染が続いていることを前提に、不測の事態が起きないように監視していく必要がある」と話している。
現に、放射性物質の流出が続いていることは、東電が発表していることである。

 東京電力は14日、福島第1原発1、2号機の取水口付近で11日に採取した海水から、放射性物質のトリチウムが1リットル当たり4100ベクレル検出されたと発表した。第1原発の港湾内で検出されたトリチウムでは過去最高。前回8日の採取分は同2000ベクレルで、2倍に上昇した。
 第1原発では放射能汚染水が地下水を汚し、海に流出している。東電は汚染された地下水が海に出ないよう薬液で護岸の土壌を固めているが、「地盤改良は暫定対策。100%地下水が抑えられるわけではない」という。採取場所の外側に遮水壁があり、東電は外洋への流出はないとしている。 
次のように言っている。
港湾トリチウム最高値=福島第1、取水口付近―東電

また、汚染水を処理するための多核種除去設備「ALPS(アルプス)」のトラブルが続いている。

 東京電力は17日、福島第1原子力発電所の汚染水処理施設「多核種除去設備(ALPS)」で、試運転中の2系統のうち1系統の水が白く濁っているのが見つかり、処理を停止したと発表した。原因は調査中。
 東電によると、毎日実施している処理中の水のサンプリング調査で、カルシウム濃度が通常より高くなり、水が白濁していることが分かった。
 この系統は、3月にも水の白濁で処理を停止。フィルター交換や洗浄をして、4月23日に運転を再開していた。
 ALPSでは、フィルターの不具合で汚染水が浄化できなかったり、作業員の確認不足で汚染水が漏れたりするなどトラブルが続いている。
福島第1の汚染水処理、また停止 1系統で水が白濁

いくら安倍首相が集団的自衛権行使の必要性について熱く語っても、眉に唾をつけて聞かなければならないであろう。

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