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2014年5月16日 (金)

成長戦略の実体は原発と軍需産業か/アベノミクスの危うさ(31)

「妄念恐るべし」ということだろうか。
安倍首相が、記者会見でパネルまで用意して、解釈改憲に意欲を示した。
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毎日新聞5月16日

南シナ海やウクライナで、緊張が高まっている。
あたかも100年前の第一次大戦前に戻ったかのような感じである。
世界史の動向

だからこそ、いま、集団的自衛権の行使容認のために、歴代内閣の積み重ねてきた憲法解釈を変更すべきなのか?
あるいは、だからこそ、平和憲法と呼ばれる根拠たる憲法第9条を護るべきなのか?
日本は大きな岐路にあるように思える。

安倍首相の記者会見は、パネルの用意など、明らかに念入りな準備をしてきたことを窺わせる。
いわゆるプレゼンの演出者は誰か?
私はその辺の事情には疎いが、おそらく電通などの広告代理店が関与しているのであろう。

それにしては、シナリオが余りにも浅い。
安倍首相の私的懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)が、15日に集団的自衛権の行使を憲法解釈を変更して容認するよう求める報告書を提出した。
それを受けての記者会見である。
しかし、私的懇談会のメンバーは、首相の息の掛っているメンバーである。
報告書の結論はすでにメンバー選定の時点で見えていた。

私は、2003年の3月のイラク開戦を思い出す。
大量破壊兵器や弾道ミサイルの脅威が差し迫っているとして開戦に踏み切った米英。
しかし、その大義は偽りだった。
当時の小泉首相は、国連と日米同盟の両立を言っていたが、それが不可能な事態になると、いち早く米国支持(つまり2国同盟優先の判断)を明確にした。
集団的自衛権は、ここまで、という歯止めがかけにくい。
果たして米英に参戦を求められて、断ることができるであろうか?

さらに、相手の集団的自衛権も認めざるを得ないであろう。
たとえば、アメリカに敵対する国は、日本をも敵とみなすであろう。
さすがにマスメディアも批判的である。

 日本を取り巻く安全保障環境の変化は理解できる。行使容認が抑止力を高め、東アジアの平和と安定にプラスになるという安全保障論の見解は知っている。また、現行解釈の範囲内で対応したつもりでも、後に国際社会から「逸脱している」という批判を受ける可能性があり、それに備える必要性も全否定するつもりはない。
 しかし同時に、政府がいくら否定しようと、自衛隊の活動に歯止めがかからなくなり、米国が始める戦争に限りなく付き合うことになるリスクを抱えていることも忘れてはならない。
 こうした大転換は国民の課題であり、やはり憲法改正という手続きによって国民に提起するのが筋だ。衆参各院の3分の2以上の多数で発議し、国民投票で過半数を得る。こういう丁寧なプロセスが求められる。
集団的自衛権:容認を指示 これでは筋通らぬ

なぜ、急ぐのか?
「憲法改正では時間がかかりすぎ、国際情勢の変化に対応できない」という意見もあるが、環境変化を理由に、解釈改憲を行うなど本末転倒であろう。

アベノミクスが喧伝されるようになってからの、TOPIXのチャートを見てみよう。
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アベノミクスの「3本の矢」といわれるもののうち、最初の2本、金融政策と財政政策は一定の効果を上げたように見える。
しかし、それはあくまで期待効果であって、実体経済には効果がないことを国民は感じ始めている。
⇒2014年1月 9日 (木):金融緩和で実体経済に資金は回っているか/アベノミクスの危うさ(24)
今日も、株式市場は全般的に大幅に下落した。

だとしたら、3本目の矢である成長戦略か?
安倍首相の頭の中を覗いてみると、成長のエンジンとして原発産業、軍需産業を位置づけているように思ってしまうのは、邪推というものだろうか?

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