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2014年5月21日 (水)

画期的な2つの判決/花づな列島復興のためのメモ(328)

奇しくも同日に、時代を画するような2つの判決が下りた。
関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止めを命ずる福井地裁の判決と、厚木基地の自衛隊機の午後10時~午前6時の間の飛行差し止めを命じた横浜地裁の判決である。
いずれも控訴される見通しであり、確定判決ではないが、少なくとも地裁レベルで判断が下されたのである。

大飯原発の当該号機は、福島原発事故以後稼働した唯一の原発であって、その再稼働には大きな問題があった。
⇒2012年4月23日 (月):なぜ急ぐ、大飯原発再稼働/原発事故の真相(27)
⇒2012年7月 2日 (月):「国民安全の日」に大飯原発を再起動させる無神経/花づな列島復興のためのメモ(100)

福井地裁は、地震の揺れに対する安全性の判断に、厳しく一石投ずるものものと言えよう。

福井県にある関西電力大飯原子力発電所の3号機と4号機の安全性を巡る裁判で、福井地方裁判所は「地震の揺れの想定が楽観的で、原子炉を冷却する機能などに欠陥がある」と指摘し、住民側の訴えを認め、関西電力に対し運転を再開しないよう命じる判決を言い渡しました。
東京電力福島第一原発の事故のあと、原発の運転再開を認めないという判断は初めてで、原発の安全性を巡る議論に影響を与えそうです。
大飯原発 運転再開認めない判決

当該号機は、福島第一原発の事故のあと運転を再開したが、去年9月に定期検査に入った。
裁判を起こした周辺住民などは「安全対策が不十分だ」として運転を再開しないよう求め、これに対し関西電力は「安全上問題はない」と反論していた。
大飯原発については、かねてから安全性に問題があると指摘されていたところだ。
⇒2013年9月 7日 (土):大飯原発活断層判断の怪/原発事故の真相(83)
⇒2012年10月24日 (水):活断層定義問題と大飯原発の稼働/花づな列島復興のためのメモ(154)

福井地裁の樋口英明裁判長は、「原発の周辺で起きる地震の揺れを想定した『基準地震動』を上回る揺れが、この10年足らずの間に全国の原発で5回も観測されていることを重視すべきだ。大飯原発の基準地震動も信頼できない、楽観的なものだ」と指摘した。
福島第一原発の事故のあと、原発の運転再開を認めないという判断は初めてでであるが、全国の原発で行われている地震の想定の根拠について「楽観的な見通しに過ぎない」と厳しく批判したことは、今後の原発政策にも影響を与えることになる可能性がある。

厚木基地訴訟の原告は、基地がある大和市、綾瀬市のほか東京都町田市など計8市の住民約7千人である。
住民側はこれまでの騒音訴訟で退けられてきた民事上の飛行差し止め請求に加え、行政訴訟でも、飛行を差し止め、米軍機の滑走路使用を認めないよう求めていた。

横浜地裁の佐村浩之裁判長は21日、自衛隊機の夜間飛行差し止めを命じた。
全国の基地騒音訴訟で飛行差し止めの判断が示されるのは初めて。
・・・・・・
過去の同種訴訟では米軍機への飛行差し止め請求は「国の支配が及ばない第三者の行為に対する請求で主張自体失当」などとして認められてこなかった。住民側は第4次訴訟で、国が管理する基地の滑走路を米軍が使用する許可は「防衛相の行政処分」と主張、行政訴訟でも訴えていた。
自衛隊機夜間飛行差し止め命令 厚木基地訴訟で横浜地裁

いずれの判決も、従来にない新しい判断である。
このような裁判の場合、高裁レベルで逆転されるケースが多いが、司法の存在意義が問われているといえよう。

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