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2014年4月23日 (水)

STAP問題の個人的な中間おさらい/知的生産の方法(91)

1月末のSTAP細胞に関する発表以後、発生生物学という自然科学の分野が日本列島の大きな関心事となった。
発生生物学-Wikipediaには、次のような記述がある。

この分野は、古くは発生学 (embryology) と呼ばれていたが、現在ではより広い意味を持たせた発生生物学という名称で呼ばれている。発生学ではウニなどの胚 (embryo) の発生を観察し記載することを主としていた。「これは技術的な限界により研究対象が大きくて透明な卵に限られていたためである」という。また多種生物間での比較を主とする場合は比較発生学と呼ばれる。この分野は19世紀には比較解剖学とともに進化論を支える根拠となった。 その後に、移植などの操作を行う実験発生学と呼ばれる分野が発達してきた。
近年になり分子生物学や遺伝学、細胞生物学の手法・知見を取り込みながら発展し、研究対象は多様な生物種・発生過程に及んでいる。多様な生物の発生生物学的知見が蓄積され、それらを比較することにより進化を探ろうとする進化発生生物学 (evo-devo) も盛んになっている。

STAP細胞(現象)は、今までのこの分野の知見からは考えにくいものであり、共同研究者たちも最初は信じられなかったというような感想を語っていた。
なおかつ、研究リーダーが若い女性であることもあって、日本女性初のノーベル賞受賞か、などと囃された。
2014年1月30日 (木):新しい人工万能細胞/知的生産の方法(79)

私は、このような大発見が往々にして予期しないことから行われるいわゆるセレンディピティに属することから、官僚的なコントロールには馴染まないのではないかとした。
⇒2014年2月 1日 (土):官製成長戦略でイノベーションは起きるか/アベノミクスの危うさ(26)
言い換えれば、予算主義の大企業も同じことである。
⇒2014年1月 7日 (火):半導体戦争における巨艦日立の沈没/ブランド・企業論(14)

ところがほどなくして、肝心のネイチャーへの投稿論文に少なからぬ不備があることが分かって、世論は手のひらを返したように、研究不正ではないかと追及しだした。
⇒2014年3月13日 (木):STAP細胞に関する過熱報道/花づな列島復興のためのメモ(315)
本来、小保方氏たちと利害を共通するはずの理研が調査に乗り出し、中間報告段階では、不適切ではあったが不正は確認できず、引き続き調査をするとした。
⇒2014年3月16日 (日):STAP細胞ー成果主義と広報戦略/花づな列島復興のためのメモ(316)
そして、最終報告で、「改ざん」と「捏造」があった、故に研究不正であると結論した。
⇒2014年4月 1日 (火):STAP論文の不正を理研が認定/知的生産の方法(84)

しかし、この理研調査委は、拙速のような印象であった。
⇒2014年4月 3日 (木):STAP細胞論文の検証/知的生産の方法(85)  
小保方氏も、調査委には事実誤認があるとして、不服申立書を提出することになった。
⇒2014年4月10日 (木):小保方氏の研究不正認定は冤罪か?/知的生産の方法(86)

論点が分散しているきらいがあるが、小保方氏も論文に不備があったことは認めており、それを「不正」と認定すべきかどうか、ということが争点である。
これについて、小保方氏の代理人の三木秀夫弁護士が、21日に「『不服申立についての理由補充書』を公表した。
以下の報道等がある。
小保方氏「不服申立についての理由補充書」要約版全文

この他の問題、たとえば「研究成果の真実性の問題」については、理研の調査委はミッション外であるとし、理研が再検証を1年かけて行うということである。
したがって、現時点では何とも言えないとしか言いようがないように思う。
しかし、次のような批判がある。

日本分子生物学会副理事長で九州大学の中山敬一教授は、まず改ざん問題について「弁護側は結果が正し今回の文書について、日本分子生物学会副理事長で九州大学の中山敬一教授は、まず改ざん問題について「弁護側は結果が正しければ画像の切り貼りをしても改ざんには当たらないと解釈をねじ曲げている。データを切り貼りすること自体が改ざんで、科学の常識からは考えられない誤った解釈だ」と指摘しています。
また、ねつ造と認定された画像については、「実験が実際に行われ、本物の画像があるというのであれば、事実を裏付けるデータや実験ノートなど誰もが納得する一次資料を示すべきだ」としています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140421/k10013898211000.html

「科学の常識」を判断の基準にしているが、小保方氏は「理研の規定」に照らして研究不正ではない、と主張しているのであって、批判がかみ合っていない。
科学上の問題は、再現検証実験を待つしかないのではないか。
現時点では、小保方氏の反論は理研の調査委の結論が妥当であるのかという問いかけであって、それ以外の問題については、争いがないか検証待ちなのである。

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