渡辺喜美と猪瀬直樹/「同じ」と「違う」(70)
デジャヴどころか、うんざりするといった方が適切だろう。
みんなの党の渡辺喜美代表が大手化粧品会社の社長から8億円を借りたとされる問題が報道されている。
東京都知事だった猪瀬直樹氏が辞任して都知事選をやったのは、ついこの間の話である。
DHCという会社は、もともと大学翻訳センターという会社だったが、健康食品や化粧品を取り扱って業容を拡大した。
DHC-Wikipediaによれば以下のような会社である。
営業利益144億円という優良会社で、非上場ということだから、代表者の懐はさぞ暖かいことだろう。
渡辺氏は、「あくまで個人として借りた」と釈明しているが、時期的に選挙資金と考えるのが常識というものだろう。
猪瀬氏は、最近になって「政治資金と見られても仕方がない」というような弁明をしているようだが、渡辺氏と猪瀬氏を比較した表があった。
http://digital.asahi.com/articles/photo/AS20140402004753.html
まあ、見方にもよるのであろうが、「授受の方法」と金額が異なる以外は、同じようなものではなかろうか。
渡辺氏も、「私の借り入れは通帳から通帳にきており、ゲンナマ(現金)ではない。通帳をトレース(追跡)すれば、ほとんど明らかになる」とし、「裏金ではない」と強調したが、問題は「趣旨と使途」である。
渡辺氏は使途について聞かれ、「いろいろな会議費、交際費、旅費」などに使ったと釈明した。
「いろいろな」ということでは説明になっていない。
さらに具体的な使途について聞かれ、「酉の市の熊手」を挙げ、「政治資金ってわけにはいきませんからね」と答えていた。
失笑ものであるが、ジョークのつもりだったのだろうか?
ところが、元検事の郷原信郎弁護士は、以下にように言う。
「選挙運動費用収支報告書の記載義務」は、特定の選挙における「公職の候補者」などにつて、一つひとつ別個に発生する。渡辺代表が、2010年の参議院選挙、2012年の衆議院選挙の「選挙資金」という趣旨で、吉田氏から提供を受けたとしても、それが、それぞれの国政選挙での「みんなの党」の選挙資金として、漠然と認識されていただけでは、具体的にどの「公職の候補者」に選挙運動費用収支報告書の記載義務が生じるのかがわからない。
渡辺喜美代表への資金提供問題、誰のどの選挙の資金なのか
上記の結論として、以下のように述べる。
現在、報道されている事実関係を前提にすると、今回の吉田氏から渡辺代表に対する巨額の選挙資金提供の事実については、政治的、道義的責任は別として、違法行為・犯罪として立件するのは相当困難だろうというのが率直な印象である。
かねてから郷原氏の見解を信頼してきたが、これは市民感覚とは乖離しているのではなかろうか。
一方、元大阪高等検察庁公安部長の三井環氏の見解は次のようである。
元検察幹部で、現在は社会の不正を追及する市民団体「市民連帯の会」を主宰する三井氏も「(徳洲会グループから5000万円を受け取り、公選法違反罪で略式起訴となった)猪瀬氏のケースと非常に似ている」といい、こう続けた。
「猪瀬氏より金額が多い分、悪質ともいえる。借り入れが選挙や政治活動に使われたと証明されれば、公選法違反か政治資金規正法違反に問われる。今回の場合、資金を提供した吉田会長が『選挙資金』と認めているため、証拠固めはしやすい。立件までのハードルはそれほど高くない。逮捕もあり得る」
渡辺喜美氏、逮捕も 元大阪高検公安部長が激白「猪瀬氏より悪質」
さすがにみんなの党の内部から代表辞任要求が出てきたようだ。
こんごどう展開していくかは分からないが、野党がこんなことでは安倍自民党はますます調子にのってしまうだろう。
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