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2014年4月16日 (水)

アクロバティックな解釈改憲/花づな列島復興のためのメモ(320)

集団的自衛権行使容認へ憲法解釈の変更を目論む政府・自民党は、55年前の砂川判決を根拠にしようとしている。
しかし、その主張は唐突感を免れない。
識者や関係者からは「聞いたことのない説」「今になってなぜ?」と疑問視する声が相次いでいる。
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東京新聞4月15日

1957年7月8日、、在日米軍立川飛行場(立川基地)の拡張のための測量阻止のデモ隊の一部が、立ち入り禁止の境界柵を壊し基地内に数メートル立ち入ったとして、9月22日に学生や労働組合員23人が検挙され、うち7人が日米安全保障条約に基づく刑事特別法違反の罪に問われ起訴された。
いわゆる砂川事件である。
1959年3月30日に出された一審では、米軍駐留は憲法違反であり被告全員無罪との判断が示された。
裁判長の名前をとって、伊達判決と呼ばれている。
これに対し、検察側は直ちに最高裁判所へ跳躍上告した。
同年12月16日、上告審で最高裁判所が統治行為論によって原判決を破棄したことから、逆転して1963年12月25日に7人の有罪が確定した。

2008年以降の研究により、伊達判決を早期に破棄させるため日米両国政府間で秘密協議がされていたことが明らかになった。
つまり、この最高裁の判決は、憲法の規定に違反したものである。

第七十六条 すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
  特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。
  すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

砂川事件-Wikipediaでは、最高裁判決を次のように解説している。

最高裁判所(大法廷、裁判長・田中耕太郎長官)は、同年12月16日、「憲法第9条は日本が主権国として持つ固有の自衛権を否定しておらず、同条が禁止する戦力とは日本国が指揮・管理できる戦力のことであるから、外国の軍隊は戦力にあたらない。したがって、アメリカ軍の駐留は憲法及び前文の趣旨に反しない。他方で、日米安全保障条約のように高度な政治性をもつ条約については、一見してきわめて明白に違憲無効と認められない限り、その内容について違憲かどうかの法的判断を下すことはできない」(統治行為論採用)として原判決を破棄し地裁に差し戻した(最高裁大法廷判決昭和34.12.16 最高裁判所刑事判例集13・13・3225)。

素直に読めば、憲法9条2項に規定する「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」に、外国の軍隊が該当するか否かの判断である。
「日本が主権国として持つ固有の自衛権を否定しておらず」に集団的自衛権も含めて考えるかどうか?
Sunagawatr2014041200578_2
http://www.47news.jp/47topics/e/252564.php

集団的自衛権の行使をめぐっては、公明党が慎重姿勢のままである。
その説得の切り札とするという目算であるが、集団的自衛権行使容認の根拠となるのか?
「判決から集団的自衛権の行使が基礎付けられるとする学者は、知る限りではいない」と長谷部恭男東大教授(現早稲田大大学院教授、憲法学)は言う。
違憲とされる判決を持ち出して憲法解釈の変更をしようというのだから、アクロバティックな論理というしかない。

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