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2014年4月19日 (土)

原発事故とエネルギー政策/原発事故の真相(112)

安倍内閣が、「エネルギー基本計画」を閣議決定した。
⇒2014年4月12日 (土):新エネルギー基本計画批判/原発事故の真相(111)
その一方で、福島第一原発事故現場では、汚染水をめぐるトラブルが収束の気配を見せない。

 東京電力は14日、福島第一原発の汚染水処理で、使う予定のない仮設ポンプ4台が動き、本来移送されるはずのない焼却工作建屋の地下に汚染水約203トンが流れ込んだと発表した。汚染水には放射性セシウムが1リットル当たり3700万ベクレル含まれていたが、東電は「地下に外部との貫通部はなく、建屋外への流出はない」としている。作業関係者が故意にポンプを操作した可能性を含め、原因を調査している。
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2014/04/post_9794.html

東電は誤送の原因について、設備の誤動作ではなく人為的ミスの可能性があるとした。
監視カメラの増設や作業員の位置情報の把握などについても検討を進めるというが、規制委の更田豊志委員は「作業員の環境の改善を進めることも大切だ」と指摘した。
この誤送事件は全くの想定外のことだという。
であれば、これからも想定されていない事態が起きる可能性があるということである。
 
福島第一原発の汚染水対策の凍土遮水壁について、経済産業省と東電は来年3月に運用を開始するというが、規制委から疑問点が指摘されている。

 座長役の更田豊志委員はエネ庁の安全対策の検討状況を聞き、「えいやっと決めた部分がかなりある。これだけで安全上の判断はできない」と批判した。エネ庁側は「超一級の専門家に作ってもらった」などと反論。更田委員が「根拠を示してください」と語気を強める場面もあった。
 さらに更田委員が「一つ一つ説明してもらいます」と畳み掛けると、エネ庁の新川達也事故収束対応室長が「凍土壁の議論なので、本筋から若干外れている」と不満を漏らした。
 検討会メンバーで首都大学東京の橘高義典教授は「壁が水圧を受ける。地盤の安定性が心配だ」と懸念を示した。京都大の林康裕教授も「検討が十分でないところも、見込みみたいなところもあるようだ」と述べた。
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2014041800775

地下水バイパス計画で地下水をくみ上げる12カ所の井戸の1つから、基準値を超える値が検出された。

 東京電力は17日、福島第一原発の地下水バイパス計画で地下水をくみ上げる専用井戸1カ所の水から放出基準を上回る1リットル当たり1600ベクレルのトリチウムが検出されたと発表した。放出基準は同1500ベクレル未満で、東電はこの井戸の使用を一時中断し、水の再分析を行うとともに、貯留タンクに移送した際の放出基準への影響を検討する。
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2014/04/post_9817.html

これらの事象は、福島第一原発事故が「収束していない」ことを示すものである。
にもかかわらず、「エネルギー基本計画」にはそのことが考慮されてはいない。
田中秀征元経済企画庁長官(福山大学客員教授)は、次のように言う。

 さて、今回の基本計画を精読してもその無内容さに驚かされる。今までのエネルギー政策、原発政策を続行していくという宣言のようなものだ。
「原子力規制委員会の規制基準に適合した原発の再稼働は進める」とした部分が計画の核心部分だ。これでは再稼働までに首相などの政治判断も不必要になり、規制委の審査結果によって自動的に再稼働していくことになる。政治や行政が不人気な決断から逃げている印象だ。
 さらに気になったのは「原発依存度は、可能な限り低減」とした部分だ。深く読めば、これは必ずしも原発の基数を減らすことにはならない。原発を減らすのではなく、依存度を減らす、しかも「可能な限り」である。
・・・・・・
「エネルギー政策に奇策は通用しない」とか「万全の対策を尽くす」とか決意表明のような文言が並ぶが、それがまた無内容さを浮き彫りにしている。その最たるものが「高レベル放射性廃棄物は国が前面に立って最終処分に向けた取り組みを進める」だ。今までできなかったことを信用しろと言っても無理である。言葉だけの努力規定に聞こえる。総じてこの計画には数値も期限も明示されていない。これでは計画ではなく、単なる「再稼働宣言」に過ぎない。
 なぜそうなったのか。それは事故の第一級の被告である原発行政と電力会社が自ら判決文を書いたからだろう。全く事故を反省し学んだ形跡がうかがえないことに怒りさえ感じる。
http://diamond.jp/articles/print/51771

このような安倍政権の原発推進政策に対し、都知事選で共闘した細川護煕氏と小泉純一郎氏が、脱原発を目指す一般社団法人「自然エネルギー推進会議」を設立するという。
3
東京新聞4月15日

学者や文化・芸能など幅広い分野の著名人が参加し、脱原発の国民運動を起こす狙いがある。
発起人には小泉、細川両氏のほか、哲学者の梅原猛氏や作家の瀬戸内寂聴氏らが名を連ね、賛同人には俳優の吉永小百合氏らが加わる。
東京電力福島第一原発事故が収束しない中で、政府が原発推進のため閣議決定したエネルギー基本計画の問題点を訴え、再稼働や原発輸出に反対を掲げる。
脱原発の動きは終わったわけではない。

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