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2014年4月28日 (月)

小保方晴子と石井俊輔/「同じ」と「違う」(72)

京都大学の山中伸弥教授が、インターネット上で不正があるのではないかと指摘された。
同教授は、緊急会見を行って説明した。

 京都大学iPS細胞研究所の山中伸弥教授は、午後5時から会見を開きました。山中教授が2000年にドイツの学術誌に投稿した論文に対して、2つの画像データが似ていてコピーしたのではないかなどとインターネット上で指摘がありました。これを受けてiPS細胞研究所が調査をした結果、「データに切り貼りした痕跡はない、論文の内容が再現されていることが確認できる」などとして、論文に問題ないと結論づけました。
http://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye2187740.html

先日は、STAP現象(細胞)をめぐる疑惑の理研調査委の調査委委員長・石井俊輔・理研上席研究員らの論文に、疑義が指摘されている。
⇒2014年4月26日 (土):理研の失態と科学への信頼/知的生産の方法(92)
石井氏は取材に対し、「オリジナルのデータがあり、不正な改竄ではない」と否定しているが、分かりにくい弁明と言わざるを得ない。

小保方晴子氏の研究を不正と認定したのは、遺伝子の実験データ画像の一部に切り貼りがあることを「改ざん」とし、細胞の万能性を示す画像が博士論文からの流用であるとして「捏造」と認定したのに照らせば、不正でないとする理由が不明である。
⇒2014年4月 1日 (火):STAP論文の不正を理研が認定/知的生産の方法(84)

私は、本質的には、「画像の加工によって論文の内容が変わったかどうか」ということが判断の分岐点になると思う。
この点について、小保方氏も石井氏も、加工によって論文の内容が変わったわけではない、と主張している。
つまり、言葉の常識的な意味での「捏造」には当たらないと考える。
旧石器遺跡事件の場合とまったく異なるのではないか。
⇒2014年4月11日 (金):STAP細胞と旧石器遺跡/「同じ」と「違う」(71)

その意味で、理研調査委の結論は勇み足ではなかったかと思う。
今回調査委員長は、不正と断罪されるのであろうか?
調査委の委員長は辞任する旨の発言をしているようであるが、もしそれで済まそうとするなら著しく衡平性を欠くことになるのではないか。
小保方氏は、理研調査委の結論により研究者生命を絶たれようとしている。
石井氏は調査委の委員長を辞しても、別に研究者としては従来通りの立場で居られるだろう。
それは社会正義に反するのではないか?

以上のことは、STAP細胞(現象)の真偽の問題とは別である。
それは理研として行う再現実験の結果を待てばいい。
私が見聞した範囲においては、小保方氏は、不適切な部分はあったかも知れないが、不正はなかったという心証である。

不適切が未熟さに起因するとしたら、それを小保方氏の責任にするのは如何なものだろうか?
むしろ未熟な研究者に筆頭著者の立場で論文を書かせた理研の問題ではないか。
ついでに言えば、不適切な論文を投稿したとしても、それで罰するというのも道理に合わないのではないか?

もちろん、「不正」であれば、罰するべきであろうが、小保方氏の場合はどうか?
余りこういうことばかり問題にしていて、研究者が萎縮するような結果になれば、大きな損失ではないか?

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