新エネルギー基本計画批判/原発事故の真相(111)
政府が、11日、「エネルギー基本計画」を閣議決定した。
かねてから、安倍政権の経産省シフトがいわれているが、それが色濃く出ている。
東京新聞4月11日
基本計画は今後20年程度にわたる中長期のエネルギー政策の指針を示すものであるが、原発を、基本的な電力供給源の役割を担う「ベースロード電源」と位置付け、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルを維持する方針を打ち出している。
原発事故以前の姿勢と基本的には変わらないものであろう。
原子力規制委員会による審査が続いるところであり、どの程度の原発が再稼動するのか現時点では予想が難しいことから、将来の原発依存度や電源構成などの明示がない。
これでは全体像が見えないと言わざるをえないが、茂木敏充経済産業相は、閣議後の記者会見で、原発再稼動について「原子力規制委員会によって安全性が確認された段階で、立地自治体等、関係者の理解を得るため、事業者だけでなく国も説明する」と述べた。
しかし、客観的に見て、「立地自治体等、関係者の理解」がどの程度得られると考えているのだろうか。
計画には核燃料サイクルを従来通り推進する方針も明記されている。
核燃料サイクルは、発電しながら消費した以上の量の燃料を取り出すとされる「高速増殖炉」の実用化が中核だった。
しかし、高速増殖炉の実用化のための原型炉の「もんじゅ」は、1995年に冷却材であるナトリウム漏洩による火災事故を起こし、さらにそれが一時隠ぺいしていたことをはじめとして、2010年8月の炉内中継装置落下事故等により、2013年5月29日、原子力規制委員会は日本原子力研究開発機構に対し、原子炉等規制法に基づき、無期限の運転禁止を命じた。
核燃料サイクルは実質的に破たんしていると見るべきであるが、それは核燃料廃棄物が処理できないことを意味する。
そのことを考えてみても、原発再稼働を前提とすることは、間違いであると言わざるを得ない。
民主党前政権が掲げた、「2030年代に原発稼動ゼロが可能となるよう政策資源を総動員する」との方針は、今回の閣議決定で完全に消滅した。
福島の事故処理にかかる費用は、すでに十四兆円に膨れ上がったという試算もあるが、東電自身が、事故対応コストが私企業には負担しえないことを認めている。
⇒2014年4月 7日 (月):原発は費用莫大、だが再稼働推進?/原発事故の真相(110)
原発は、決して安くない電源なのだ。
省エネと再生可能エネルギーを増やすことにより、原発依存度を可能な限り低減させるという。
しかし、電源の構成比を明記していないので、絵に描いた餅にもなっていない。
2030年に2割という導入目標も、本文ではなく脚注に書かれている。
実行する必要のない、参考数値という位置づけだ。
福島原発事故は、原子力の平和利用という「戦後レジーム」の見直しを迫るものであった。
それは、フェルミのパラドクスをも視野に入れたものとなるであろう。
2014年1月29日 (水):「フェルミのパラドックス」と「成長の限界」/原発事故の真相(103)
持続可能な社会を構築するために、電力需給に関するパラダイム転換の時である。
多様な電力を有機的に連携させることにより、原発に頼らない生活が可能になるのではないか。
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