原発は費用莫大、だが再稼働推進?/原発事故の真相(110)
自民党と公明党は3日、中長期のエネルギー基本計画で合意した。
その中で、原子力発電が重要電源と位置づけられ、与党が原発維持でまとまったことで、再稼働へ向けた環境が整ったとされる。
東京新聞4月7日
福島の原発事故はどう位置づけられているか?
3日、自民・公明両党は政府が策定中しているエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」案を了承した。しかし、2月に決定された原案では冒頭の部分で示された東京電力福島第1原発事故への「深い反省」や「安全神話」への警鐘などの文言を削除したことが注目を集めている。
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削除される文言は、当初「エネルギー基本計画」の序文に入れられていた「政府および原子力事業者は、いわゆる『安全神話』に陥り」といった指摘や、事故に対する「深い反省を一時たりとも放念してはならない」などといった文言。また、冒頭はエネルギー基本計画の一般的な説明文へと大幅に差し替えられ、一部の議員はこれらの変更に強く反対している。
しかし、政府は来週にも基本計画の閣議決定を進める見通しとなっており、福島第一原発の事故から3年が経過し、日本のエネルギー政策は再び「脱原発」の路線からは遠ざかることとなる。
http://newclassic.jp/archives/11438
福島原発事故絡みの集団訴訟は、17の地裁・地域支部で提訴されており、原告は約6,800人に上るという。
その1つに、「生業(なりわい)を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟がある。
その第5回目の期日が、3月25日に行われた。
双方の主張と今後の裁判の進め方について、書面又は口頭で下記のようなやりとりがあった。
東京電力は、次の重大な2つの主張を行っています。1つめは、「20msv以下であれば健康影響は問題ない」、2つめは、「仮に裁判で除染の義務が認められたとしても、多額の費用がかかり一企業としては負担が重すぎるので、原告の請求は認められない」というものです。
http://www.nariwaisoshou.jp/progress/2014year/entry-332.html
国は、認否を明らかにしなかったが、原告は、福島第一原発事故が発生した原因や、国がどのような責任を負うかについて詳細に主張しており、原告が求釈明を行った点については明らかにすべきである。
しかし、東電の主張は驚くべきものであり、原発の実態が図らずも浮き彫りになっているように思われる。
第一の健康影響の問題について、20msvの放射線量より、運動不足、肥満や野菜不足の方が健康に悪影響であると述べている。
運動不足や肥満や野菜不足は健康に悪いだろうが、あくまで個人的な問題である。
事故で飛散した放射能と対比させるべきようなことではないことは、論理の初歩であろう。
第二の、費用の問題は、東電自身が事故対応コストが私企業には負担しえないことを認めたものであって、事故対応コストを算入しない原発の発電コストが安い、としてきた政府・与党の立場を崩すものである。
脱原発の方向性を東電自ら示しているものと理解する。
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