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2014年4月14日 (月)

地域包括ケアシステムの理念と現実/ケアの諸問題(4)

わが国は世界でも例のない速度で、例のない高さへ、高齢化が進んでいる。
高齢者になれば、程度の差はあれ、誰でも身体不如意になり、介護が必要になってくる。
特に、団塊の世代が後期高齢者入りをする2025年には、介護をどうするかが深刻な課題になると予測されている。
⇒2014年2月17日 (月):「徴介護制」はあり得るか?/花づな列島復興のためのメモ(308)

社会保障との一体改革ということで受忍させられている消費税の増税も、公共事業に回される分が大きく、増収分約5兆円のうち、社会保障制度には5千億円しか充当されない見通しだ。
⇒2014年4月 5日 (土):消費税増税の趣旨と現実/アベノミクスの危うさ(30)
そして、今後のケアの方向性を決める介護確保法案が国会で審議されている。

 消費税率が8%に上がった1日、地域医療・介護確保法案が衆院本会議で審議入りした。同法案には介護分野を中心に給付減や負担増のメニューが並ぶ。民主党など野党は消費増税と合わせた「二重の負担増」に批判の矛先を向けた。
 税と社会保障の一体改革は、消費増税による増収分を「すべて社会保障の安定・充実に充てる」とした。同法案は一体改革を具現化する第1弾。それなのに介護保険のサービスカットが柱だとして、民主党の柚木道義氏は「消費税が上がったのになぜ介護は削減なのか」と安倍晋三首相に迫った。しかし、首相は「サービス抑制ありきではない」と述べるにとどめた。
 一体改革は自民、民主、公明の3党合意に基づく。ただ、同法案は一律1割の介護の自己負担割合を、年収280万円以上の人は2015年度から2割に引き上げることなどが中心で、維新を除く野党は反発。3党合意の当事者でもある民主党は1日も「我々の考えとは違う」と政府を責めた。
http://mainichi.jp/select/news/20140402k0000m010062000c.html

法案のポイントは、「地域包括ケアシステム」の構築といわれている。
「地域包括ケアシステム」とは、介護が必要になった高齢者も、住み慣れた自宅や地域で暮らし続けられるように、「医療・介護・介護予防・生活支援・住まい」の五つのサービスを、一体的に受けられる支援体制のことだ。
Photo_3
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=83200

理念は別として、現実はどうか?
地域包括ケアシステムで在宅サービスを充実させるためには、240万~250万人の介護スタッフが必要だと言われる。
現在は約150万人だとされるから、2025年までに約100万人の増加が必要ということになるが、介護職のなり手は少ない。
⇒2014年2月 6日 (木):揺れる介護福祉士養成制度/花づな列島復興のためのメモ(304)

「3K」(きつい、危険、きたない)どころか、「給料が安い、休暇が少ない、カッコ悪い」を加えた6Kと言われるのが介護の職場である。
介護の世界では、「寿退社」は男性に使われる。
介護職では家族を扶養できないからである。

地域包括ケアの核は誰が担うのか?
医療費を削減するために地域に出る患者の受け皿をどうするのか?
高齢者の入院患者を減らすというが、難民化する高齢者が増えるだけではないのか?
在宅介護を広げるために、低所得者も利用できる高齢者向け住宅の不足をどうするのか?
課題は多いが、安倍政権は例によって、丁寧な審議をないがしろにしそうである。

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