行方不明の認知症高齢者/ケアの諸問題(5)
来年に、団塊の世代(昭和22(1947)~24(1949)年に生まれた人)の高齢者入りが完了し、2025年には後期高齢者となる。
その時、1人の現役世代が支える高齢者の数は1.8人と予測されている。
⇒2014年2月17日 (月):「徴介護制」はあり得るか?/花づな列島復興のためのメモ(308)
高齢者人口は、平成27(2015)年には3,395万人となり、37(2025)年には3,657万人に達すると見込まれている。
その後も高齢者人口は増加を続け、54(2042)年に3,878万人でピークを迎え、その後は減少に転じると推計されている。
http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2012/zenbun/s1_1_1_02.html
私は、リハビリ専門病院に入院していた時、これは近未来の姿ではないかと思ったが、どうやらそれが現実になるようである。
後期高齢者になると、認知能力が衰えるのは避けられない。
⇒2014年3月23日 (日):認知症患者の増大と在宅ケア/ケアの諸問題(2)
次のようなニュースがあった。
2年前に大阪市の路上で警察に保護されたが、名前や住所など身元が全く不明のまま、仮の名前が付けられ介護施設で暮らす重い認知症の男性がいることが分かった。男性は自分の名前が分からず、該当する行方不明者届もない。専門家は「高齢化が進み、今後このような人が増えていくのでは」と危惧している。
大阪市は男性に対し、保護された場所にちなんだ名字に「太郎」という仮の氏名を付けた。福祉の保護を受ける手続きなどで必要なためだ。容姿などから70歳と推定して仮の生年月日も決めた。現在推定72歳になったが、入所する同市内の介護施設の職員には「実際はもう少し若いかもしれない」との見方もある。
介護施設は通常、本人の経歴や病歴、家族構成などを踏まえてケアにあたる。例えば夕方に歩き回る人がいれば「子供の夕食を作るため家に帰ろうとしているのか」と理由を推測し、不安を取り除くよう努める。だが、太郎さんには保護前の情報がない。山内さんによると、30ほどの施設が入所を断り、受け入れ先は容易に見つからなかった。
太郎さんは特殊なケースなのか。認知症介護研究・研修東京センターの永田久美子研究部長は「超高齢社会では人ごとでなく、同様のケースが身近で増えることは確実だ。これまでも太郎さんのような存在と対面しているが、実態把握も対応も進んでいない。一刻も早く本名を取り戻し家に戻れるように、国や自治体が本格的に対策に乗り出すべき時期だ」と話している。【
http://mainichi.jp/shimen/news/20140419ddm001040177000c.html
この「太郎」さんのような人が、今後次第に増えてくることは間違いないだろう。
認知症予防にさまざまな対策が講じられている。
⇒2013年3月15日 (金):認知症の原因としての情報不全/知的生産の方法(42)
認知症の予防には、極力情報に積極的に接触することが望ましい。
しかし、自治体等が主催する認知症予防講座のような対策を受講しようという人は、むしろリスクは小さいのではなかろうか?
また介護予防のための風船バレーのようなゲームは、健常の間は余り参加意欲を湧かせないであろう。
外に出たがらない人をどうして外出させるか、それが課題といえよう。
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