「ぞうさん」の童謡詩人 まど・みちお/追悼(47)
戦後を代表する童謡詩人のまど・みちお(本名石田道雄=いしだ・みちお)さんが、2月28日、老衰のため亡くなった。
1909年〈明治42年〉で、104歳だった。
私の母も同年生まれだったから、「そうか!」という感慨が湧いてくる。
母が死んだのは1997(平成9)年だったが、87歳だった。
その時は大往生だと思ったが、まどさんに比べれば、まだまだだったということになる。
まどさんの作詞した童謡はたくさんある。
とりわけ、次のような作品は多くの子供たちに愛唱された。
「やぎさんゆうびん」
「ぞうさん」
「ふしぎなポケット」
「一ねんせいになったら」
童謡「ぞうさん」は、1948年に書かれたものだ。
1953年に團伊玖磨が曲をつけてNHKラジオで放送された。
ぞうさん
ぞうさん
おはなが ながいのね
そうよ
かあさんも ながいのよ
2009年に100歳になったまどさんを取材した井上圭子さん(東京新聞記者?)は、次のようなメッセージを聞き取っている。
童謡「ぞうさん」には、人間の子どもに対するメッセージが込められていた。「『鼻が長い』と言われればからかわれたと思うのが普通ですが、この子ゾウは『お母さんだってそうよ』『お母さん大好き』と言える。素晴らしい。人の言うことに惑わされて、自分の肝心な部分を見失ってしまうのは残念です」
・・・・・・
「世の中にいきるものはすべて、たったひとつの存在です。そのものが、そのものであるということ。それだけで、ありがたく、うれしく、尊いことです」
「池の水面をアメンボが動くと、アメンボの周りに輪が広がります。不思議だなあと思います。あんなに小さいものが、あんなに大きな水を動かすなんて」
「ぼくはタタミイワシを毎朝パクパク食べるのに、腕にとまった蚊はかわいそうで殺せない。矛盾だらけです。生きものの命を食べずに生きている生きものはいませんが、食べない生きものまで殺すのは人間だけです」
・・・・・・
「生きていると必ず、毎日、新しく見つけるものがあります」
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014022802000242.html#print
まどさんにも、戦争体験がある。
1943年、召集によって台湾の船舶工兵隊に入り、マニラを皮切りに各地を転戦した。
終戦はシンガポールでを迎えた。
この戦場での体験が、生きる者への優しい眼差しや「生きる意味」といった作品のメッセージに繋がっているのであろう。
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