クリミヤはどうなるか?/世界史の動向(10)
ウクライナ南部クリミア半島で、16日に実施された住民投票は、ロシアへの編入に圧倒的な支持が集まった。
クリミア自治共和国議会は17日、独立を宣言し、「クリミア共和国」としてロシア編入を求める決議を採択した。
プーチン大統領は17日、ウクライナ南部クリミア自治共和国を独立国として承認する大統領令に署名した。
あれよあれよという間の独立である。
大統領令は、クリミアの住民投票で住民の意思が示されたとし、特別市セバストポリを含む「クリミア共和国」を「主権を持つ独立国」として承認する内容である。
http://mainichi.jp/shimen/news/20140318ddm001030178000c.html
クリミア半島の最南端・セヴァストポリの岸壁には、無数の弾痕が刻まれているという。
ロシアは、19世紀にはオスマン帝国と、20世紀にはナチスドイツと死闘を演じている。
ソチオリンピックが、ロシアの愛国心を高揚させていることが、プーチンの動きである。
クリミアの分離は、黒海周辺におけるロシアの影響力拡大にもつながる。周辺にはロシアの後ろ盾で独立を宣言し、国際社会の大部分が承認していない三つの「国家」がある。グルジアからの独立を宣言している南オセチアとアブハジアは、2008年のグルジア紛争でロシアが国家承認して関与を強化。1990年にロシア系住民が独立宣言したモルドバ領内の沿ドニエストルは承認していない。
ロシアの関与の仕方はさまざまだが、ここにクリミアも加わることになる。プーチン政権としては勢力圏とみる旧ソ連諸国での不安定な状況を利用し、影響力を保持する狙いがある。
http://mainichi.jp/shimen/news/20140318ddm003030068000c.html
米国と欧州連合(EU)は17日、プーチン政権当局者らに対する入国・入域禁止などの制裁を決めた。
ロシアがクリミア併合に踏み切った場合には対露制裁がさらに強化される可能性が高い。
ロシアがクリミヤの併合に踏み切るのか?
「住民の意思」という点では、住民投票の結果が出ている。
しかし、ロシアがクリミア中枢を掌握した状況での住民投票である。
いわば、出来レースだった。
プーチンは18日に、上下両院と地方首長を前に演説し、クリミアの「編入要請」に関する自らの立場を表明した。
議会は親政権勢力で固められており、すでに全4政党がクリミア編入を歓迎する立場を表明している。
鮮やかという言葉は適当ではないかもしれないが、プーチンの動きはそう言いたくなる気もする。
プーチンがロシアの最高権力の座に就いてから14年の間に、かつての凋落するロシアは、世界史のキー国家になった。
一連の軍事力を背景にした動きは、時間が逆に動いているように見える。
満州事変における関東軍も、鮮やかといえば鮮やかな動きではなかったか。
⇒2014年2月22日 (土):原発は「日本の生命線」か?/花づな列島復興のためのメモ(310)
⇒2012年10月 1日 (月):「満州事変」をひき起こしたのは誰か/満州「国」論(3)
21世紀も戦争の世紀となるのであろうか?
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