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2014年3月 8日 (土)

北海道電力の経営事情/ブランド・企業論(20)

電気エネルギーは、われわれが使うエネルギーの基本形態である。
日本では、電力会社が地域独占的に供給しているので、電力会社の経営状態は他人事ではあり得ない。
東京電力などは、福島第一原発事故ひとつで、事実上経営破綻の状態になった。
旅客では、JR北海道が事故続きで、事実上の破綻会社だと思われる。
⇒2013年11月18日 (月):JR北海道の民営化は間違いではなかったか?/ブランド・企業論(9)

北海道電力はどうか?
「日経ビジネスオンライン」の3月5日(水)号に、 田村賢司『北海道は「27%」の電気料金引き上げ!? 北電債務超過の瀬戸際が見せる日本の危機』 が載っている。
冒頭に、「経営悪化が電力料金の大幅引き上げか、原子力発電所の早期再稼働かを政府に迫ろうとしている」とある。
「電力料金の値上げ」と「原子力発電所の早期再稼働」は二者択一ということだろうか?
北海道電力の業績は、2012円3月期以降最終赤字が続いている。
Photo
日経ビジネスオンライン

これは、泊原発1、2号機が定期点検のため、運転を停止して火力発電へ転換し、燃料費が高騰したためである。
自己資本比率は昨年末(第3四半期)に、7.3%(単独決算)まで落ち込んだ。
このまま大幅赤字が続けば、来期は債務超過に陥る恐れもある。

債務超過となれば1年以内に解消しない限り上場廃止というのがルールだ。
そうなれば、株主に巨額の損失が発生する。
社債(電力債)の価値も大きく毀損するだろう。
個人投資家にも機関投資家にも膨大な負担をかぶせることになりかねない。

原発を再稼働させれば、赤字は回避できると見られる。
私は、原発の発電コストが安いというのは、変動費に限ればという条件付きだと思うが。
しかも、使用済み核燃用の処理のメドが立っていない現状では、変動費の算出自体も問題があると言わざるを得ないのであるが。

しかし、それらの条件を無視したにしても、原発再稼働は容易ではないだろう。
原発の再稼働申請は昨年7月から始まったが、審査は予定より大幅に遅れている。
もちろん、予定は電力会社の都合であって、原子力規制委員会の問題ではない。

北電は、電力料金の値上げに急速に傾いているという。
消費税が引き上げられ、物価もインフレに向かう最中での電力慮金値上げは、国民生活を破壊するだろう。
ちなみに、泊原発の再稼働が来期出来ない場合に、その分を火力発電で埋め合わせると27%のコスト増になるという。
一度に27%の値上げなど認められるわけはないだろう。

同期字には、繰延税金資産の会計処理の問題についても触れているが、それについては割愛する。
私は、核燃料サイクルが完成していない以上、原子力規制委員会の安全審査に合格したとしても、原発再稼働に反対する。
北海道は、風力という資源に恵まれている。
再生可能エネルギーのモデル電力会社としての方向性を考えるべきだと思う。

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