「3・11」と様々なる不条理/花づな列島復興のためのメモ(314)
巨大で過酷な震災から3年が過ぎた。
3年という時間は、決して短いものではない。
人生80年として、4%に近い。
この震災は、何を遺し、何を変えたのか?
未だに26万人以上という多くの人が避難生活を余儀なくされている。
私は、2009年12月に脳梗塞を発症し、2010年の5月末までの約半年間、入院生活を余儀なくされた。
⇒2010年6月 1日 (火):闘病記・中間報告(6)/退院(1)
その入院中に考えたことは、脳血管疾患は巨大地震と似ているのではないかということであった。
⇒2010年3月22日 (月):闘病記・中間報告(2)予知の可能性
⇒2010年4月11日 (日):闘病記・中間報告(3)初期微動を捉えられるか
退院して約9か月経過した時点で、実際に巨大地震が発生した。
巨大地震は、想像を超えるきぼだった。
⇒2011年3月11日 (金):大規模地震で日本国はどうなるのか?
TVの映像としてではあるが、実際に震災の惨状を目の当たりにして、脳血管疾患と地震には、まったく違う現象ではあるが、やはり似ている要素があることを実感した。
基本的に、両方とも、当事者にとっては「想定外」のことであることである。
もちろん、地震についても予知の試みは行われている。
潜在的危険は、多くの人の共通認識ともいえよう。
しかし、いつ、どの位の規模で発生するかを、ある程度の精度で予知することは難しい。
⇒2013年5月31日 (金):地震予知の諸問題/花づな列島復興のためのメモ(223)
脳血管疾患も同様である。
脳血管疾患は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血に区分され、疾患の発生した部位と発生の仕方による区分であるが、実際の現象は千差万別である。
脳血管疾患は、脳卒中ともいうが、「卒」は卒然などの熟語で分かるように突然に起こることを意味し、「中」には「あたる」という訓がある。
発生してしまったものは、元に戻ることはない。
分化した体細胞を未分化な分化万能細胞へと戻すこと(初期化[リプログラミング])ができると考えられるiPS細胞やSTAP細胞が話題になっているが、生体は基本的に非可逆的であり、脳も同様である。
壊れてしまった脳の部位は、現状では復旧することはないのである。
そして、多くの場合、深刻な後遺症が残る。
後遺症の態様も千差万別である。
巨大地震も、直接的被害も巨大なものであるが、現時点の課題は、後遺症からの脱却ということであろう。
不幸なことに、福島第一原発事故という人災が複合しているのが、今回の震災の最大の特徴である。
石原慎太郎日本維新の会共同代表は、「原子力の活用は人間の進歩だ」と講演で語った。
⇒2014年3月 9日 (日):石原慎太郎の耄碌/人間の理解(3)
一般論としてはそうも言えるかも知れない。
しかし、未だに住み慣れた街、住み慣れたわが家に帰ることができずに避難生活を余儀なくされている人が大勢いるという現実を前にしては、「原子力の活用を再考すること」が人間の進歩なのではないだろうか。
後遺症を克服するために、リハビリテーションを行う。
難しいのは、脳の回路は非可逆的であって、リハビリによって回復するわけではないことである。
代替的な回路の形成を図るわけであるが、これがそう簡単ではない。
筋力の衰えの回復などと全く異なっている点である。
⇒2010年6月 4日 (金):闘病記・中間報告(7)/退院(2)
⇒2010年5月 9日 (日):闘病記・中間報告(5)回復期リハビリについて
それでも、発症後4年以上経った現在でも、きわめて緩徐的ではあるが、少しは改善していることを実感する。
通常、症状固定と診断されるのは、発症後6カ月である。
原発事故は、「風評」という問題も提起している。
「風評」の原因には実体がないが、被害には実体がある。
疾患の場合も同様のことが起こり得る。
実際に私も、「あいつも終わりだな」という声を耳にしている。
もっとも、これは「風評」とは言えないだろうが。
容疑者には、逮捕前に報道陣に自ら「事件を目撃した」として、犯行の内容を明かすなどの不可解な行動も見られる。
⇒2014年3月 6日 (木):柏通り魔容疑者の自己顕示の心理/人間の理解(1)
動機となる心理の状態がブラックボックスとい...うことである。
いずれも、当事者にとっては不条理なことである。
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