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2014年2月27日 (木)

TPPに出口戦略はあるか/花づな列島復興のためのメモ(312)

大枠合意を目指してシンガポールで開いた環太平洋経済連携協定(TPP)交渉の閣僚会合は、膠着状態を打開できずに終わった。
閣僚会合に先立ち21日までの5日間、各国の首席交渉官がシンガポールで協議を続けていた。
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http://digital.asahi.com/articles/DA3S10992608.html?_requesturl=articles/DA3S10992608.html&iref=comkiji_txt_end_s_kjid_DA3S10992608

現地入りしてその結果を聞いた甘利TPP担当相は、残る対立点の多さに「大筋合意ができるかどうかは、まだまだ厳しい道のりだ」と認めざるをえなかった。

TPPの理念は、中国を含むアジア太平洋地域で自由かつ公正な競争市場を設計することにある。
しかし、各国にはそれぞれ異なる事情がある。
参加国の中でGDP的に大きな比重を占めるのが、日米両国である。

日本は、コメと麦、砂糖、牛・豚肉、乳製品を「重要5項目」として、関税維持をめざす「聖域」と位置づけてきた。
これは、自民党の公約であるから、そう簡単に引っ込めるわけにはいかない。
米国は現時点で、ほぼ関税撤廃とみなせるような引き下げしか認めない考えを示している。
日米の隔たりは、表面的には大きい。
しかも、今回の閣僚会合では、マレーシアやベトナムなどのアジア新興国が、それぞれ自国の聖域を公然と主張し始めた。

しかし、TPPは国の根幹まで変えかねない広範な交渉である。
特に、農や食の分野は、文化と密接に関わっている。
この点が、工業製品と異なるところだ。
文明と文化の差ともいえる。
文明はパーツ化して移植できるが、文化はパーツに分解したら意味がなくなるものが多い。
この違いを、日米両国はどこまで認識しているのだろうか?

自動車分野については、米国が輸入車にかける関税は「最も長い期間」をかけてなくすことで昨年4月に合意した。
しかし、米国は日本車の輸入が急増したら関税をもとに戻せるなどの「制限措置」の導入を求めている。
日本が求める自動車部品の関税(2.5%)の撤廃には、あいまいな態度をとり続けている。

関税以外で交渉が難航しているのは「国有企業のあり方」と「知的財産権の守り方」の2分野である。
これらは、文明と文化の両面に関わる問題である。
先進国と新興国との間の利害が衝突する。
先進国側は、国有企業の優遇策をなくし、新薬特許や著作権の保護を強めたい。
一方、ベトナムやマレーシアなどの新興国はこれに反対している。

そもそもTPPは、2006年にシンガポールやニュージーランドなど四カ国による発足当初は「小国同士の戦略的提携により市場での存在感を高めること」が狙いだった。
2010年に米国が参加して大きく変質し、貿易・投資の自由かつ公正な競争市場づくりという名目の下、米国主導で21分野にわたる広範な交渉になった。
環太平洋地域で米国が利益を享受するために対象国の制度や法律まで作り変えるのではないかとの懸念が強い。
米国が自国のルールを、グローバル・スタンダードだとして他国に押し付けるのでは、交渉はまとまらないだろう。

日米の関税交渉は、大きな矛盾を内包している。
日本は、「聖域」を放棄して交渉をまとめようとするのか?
あるいは、あくまで「聖域」を守り抜くのか?
その場合、日本が孤立化する恐れはないのか?

まさに、国益とは何かが問われる局面である。
出口のシナリオを練っておかないと、取り返しがつかないことになる恐れがある。

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