東電労働環境アンケートの非常識/原発事故の真相(106)
東京電力が、福島第一原発で働く作業員の待遇面など労働環境改善のために実施しているアンケートを、元請け企業を通じて回収していた。
アンケートは以下のものであると思われる。
http://www.tepco.co.jp/nu/fukushima-np/images/handouts_120920_04-j.pdf
アンケートの趣旨については、東電として当然押さえておくべきことだろうと思う。
問題は、方法である。
「就労実態」調査は何のために実施するか?
弱い立場の作業員の労働環境を把握し、問題点を抽出するためであろう。
⇒2013年12月18日 (水):発事故収束宣言と作業員の待遇/原発事故の真相(99)
こういう調査の場合、回答者が特定されないように万全を期すのが当たり前である。
よくいじめの問題で、生徒や保護者にアンケートを行う。
その回答が氏名を特定できるようなものだったら、本当のことを記入するだろうか?
人によりけりかも知れないが、いじめられて苦しんでいる生徒が、実名で記入するのは自殺を覚悟した後ではないか。
確かにアンケートの回答用紙には、氏名等の記入欄はない。
しかし、回収は元請け任せになっている。
「作業員→所属する下請け→上位下請け→元請け」というように会社を通して回収し、東電へは元請けからまとめて郵送されるという。
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作業員たちの話では、下請け企業の中には、作業員の回答を提出前にチェックしたり、回答の内容を指示したりするところもある。作業員からは「こんなやり方では実態は分からず、改善につながらない」という声が上がっている。
・・・・・・
ある作業員は「(上位下請けから)下手なことを書くなというプレッシャーがある。従業員の書いた内容を全部確認してから封筒に入れ、提出させられた」と話す。線量計の不正使用を目撃しても見なかったと書くよう指示された作業員もいたという。
東電の担当者は「回答用紙は作業員が記入して封筒の封をする。中身は(元請けなどに)見えないようになっている」と回収方法は適切だとする。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2014021202000120.html
東電が本気で就労実態を知ろうと思ったら、作業員が線量計を借りに立ち寄る東電の管理施設に回収箱を置くとか、直接郵送回収するなどの方法が考えられる。
肝心なところで安易になってしまうところが、現在の東電の実態なのだろう。
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