地方都市の人口問題/花づな列島復興のためのメモ(303)
最近、人口に関して気になるニュースがあった。
総務省が30日公表した2013年の人口移動報告によれば、静岡県は転出超過が最多の北海道に次ぎ、全国2位であった。
転出超過は2012年より増加し、人口流出が拡大している傾向がはっきり出た。
静岡新聞1月31日
なかでも、東部の中核市である沼津が、市町村別で全国第6位だった。
確かに沼津の中心市街地の商店街は、シャッターを下ろしたままの店が多い。
しかし、それは多くの地方都市に共通することだろう。
まあ、長年にわたり沼津の顔という存在であった沼津駅前の西武百貨店現状が撤退したのだから、商圏としての魅力がなくなっているということだろう。
それも気にはなるが、もっと気になることが、沼津のコミュニティ紙・沼津朝日に載っていた。
大海祥という人が寄稿した「父さん、沼津の人口は?」という文章である。
沼津市の人口が、市の発表と県の発表とで大きな違いがあると指摘されている。
住民基本台帳に基づく市の人口は、2013年12月1日現在で20万4,858人、県発表の12月1日の人口は19万5,702人で、市の発表数字が9,156人多い。
約4.7%ある。
決して誤差のレベルとは言えない数値である。
大海さんによると、沼津市の住民基本台帳ベースの人口と県発表の数値の差は、同じ基準の近隣の三島市(1.3%)や裾野市(1.1%)より大きい。
また、浜松市や近隣の清水町は、県の数値をそのまま使用しているという。
どうもミステリアスな話だが、沼津市のホームページに2つの数字があるというのだ。
国勢調査基準日である2010年10月1日時点で、国勢調査による数値が20万2,304人、住民基本台帳による数値が20万7,591人となっている。
住民基本台帳の数値が2.6%上回っている。
なぜ、放置しているのか?
人口は地方自治体の最も基本となる数値であるから、できるだけ実態に近く精度の高い数値が使われているだろうと、普通の市民はそう思うだろう。
ところが沼津市の場合、そんなことは無いようである。
大海さんは、特例市の故ではないか、と推測している。
特例市は人口20万人以上を目安としているから、20万人を割り込みたくないだろう。
しかし、現在沼津市の大きな問題になっている鉄道高架化事業の、便益と費用の比率が、この人口の差異で大きく変わってくるという。
県の(国勢調査ベースの)数字を使うと、期待便益が費用と同じ程度になり、事業推進の論拠を失いかねないらしい。
現状を正しく認識せず(あるいは意図的に正しく認識せず)、いつまでも公共事業に依存しようという姿勢でいる限り、地方都市の衰退は止まらないのではないか。
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