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2014年2月19日 (水)

成熟戦略としての「原発即ゼロ」/花づな列島復興のためのメモ(309)

東京都知事選で、「原発即ゼロ」の旗を掲げた、宇都宮健児、細川護煕両候補の得票を足しても、舛添要一氏の得票に及ばなかった。
この結果を見る限り、東京都民は「原発即ゼロ」を望まなかったということになる。
現在稼働している商用の原発はゼロである。
「即ゼロ」というのは現状維持で、「即ゼロ」以外は再稼働容認もしくは推進というのが論理的帰結である。
⇒2014年2月11日 (火):都知事選の結果と暗い予感/花づな列島復興のためのメモ(306)

というのは極論だと思う。
都知事選は、原発政策“だけ”をめぐって争われたわけではないからである。
にもかかわrず、安倍政権は、都知事選の争点になるのを極力避けたうえで、選挙が終われば議論は終わったとばかりに再稼働に突き進んでいる。
安倍首相は、「安全が確認できた原発は運転を再開する」と言う。
しかし、何をもって「安全が確認できた」とするのであろう。

安全性の評価は、原子力規制委が行う。
しかし、規制委の審査で否を突きつけられた途端、電力会社は経営破たんの危機に直面する。
そして、経営破たんすれば、廃炉も不可能ということになる。
安倍政権は、廃炉への道筋をしめすことなく、再稼働させようとしているが、原発依存を段階的に縮小するという自民党の政策は、1基たりとも廃炉にする気がないということである。

もちろん、稼働に伴う使用済み燃料の問題をどうするかの問題もある。
核燃料サイクルは現実に閉じていないのである。

以上のように考えれば、「原発依存の段階的縮小」ということが、とてつもなく困難な課題であると言わざるを得ない。
「原発即ゼロ」は理想論ではなく、もっとも現実的な案なのだ。
都知事選の報道においては、新聞、TVなどのマスコミは、細川・小泉連合を、シングル・イシューと決めつけるものだった。
しかし、細川・小泉連合の発想はそれほど矮小なものではない。
「原発を続けるよりも、原発に依存しない方が成長の有利だ」という主張である。
⇒2014年2月 8日 (土):池上彰氏の解説する城南信金理事長吉原毅氏の脱原発論/原発事故の真相(104)

ここではブレーンの1人と目されている元経産省の古賀茂明氏の解説を見てみよう。
「週刊現代」誌に連載している「官々愕々」というコラムの3月1日号『第98回 成長戦略としての「原発即ゼロ」』である。
古賀氏は次のように解説している。

元総理連合の主張は、原発を止めて、「原発から自然エネルギーへの転換競争」で日本が主導権を握り、国際競争力のある産業を育成しようということだ。
自然エネルギーの分野で投資を誘発し、雇用と所得を生み出し、福祉の財源にしようということである。
原発ゼロというのは、成長戦略・雇用戦略、福祉戦略・地域政策でもある。

原発ゼロというと、苦しいけど我慢しようというイメージに繋がりやすい。
「欲しがりません、勝つまでは」というキャッチフレーズを連想しがちである。
しかし、古賀氏の解説によれば、それとは次元の違う発想ということだ。

私は基本的には、この意見に同意する。
そして、もう一歩進めて、天野祐吉氏の遺言のごとく「成長から成熟へ」を絡めて考えればいいのではないかと考える。
⇒2014年2月 3日 (月):成長から成熟へ/花づな列島復興のためのメモ(302)

すなわち、成熟戦略としての「原発即ゼロ」である。
成熟を質的成長と言い換えることも可能だとは思うが、天野氏の言葉を尊重したい。

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