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2014年2月 2日 (日)

責任野党などあり得るのか/花づな列島復興のためのメモ(301)

安倍首相の施政方針演説の締めの部分にでてきた「責任野党」という言葉が、代表質問の中で論議を呼んでいる。

 私たち連立与党は、政策の実現を目指す「責任野党」とは、柔軟かつ真摯(しんし)に、政策協議を行ってまいります。
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement2/20140124siseihousin.html

全般的に言葉が先行して実態がない感じのする演説のような気がした。
⇒2014年1月25日 (土):安倍首相の施政方針演説批判/アベノミクスの危うさ(25)
「責任野党」という言葉についてはどうだろうか?

責任野党の反対語は「無責任」野党だろうか?
野党の対語は与党である。
与党は、政権を担当しているから、責任を負っているのは間違いない。
政党政治である以上、責任を共同して負うのは、連立政権に加わっている政党である。

そもそも野党も選挙で選出されている以上、有権者に対して責任を負っている。
その責任は、政権に対する批判的政策を支持して投票したものであろう。
それを踏まえれば、健全な野党とは、政権に批判的な政党ではないだろうか。
とすれば、安倍首相の言葉は、有権者を愚弄するものでもある。

しかし、野党の反応はさまざまである。
日本維新の会国会議員団の松野頼久幹事長は代表質問で「責任野党として、外交安保、憲法改正は協力する」と応じた。
みんなの党の渡辺喜美代表は「みんなの党を『責任野党』と正しく理解いただいている。首相の戦う覚悟と戦略が共通ならば協力は惜しまない」と踏み込んだ。
日本維新の会とみんなの党は、首相の蒔いた餌に飛びついたようである。
これでは政権の補完勢力、翼賛勢力ということになろう。

維新は、橋下共同代表が大阪市市長を辞任して、出直し再選挙をする意向だという。
石原共同代表は、都知事選で田母神俊雄を「個人として」応援している。
⇒2014年1月10日 (金):都知事選を「勝ち抜く力」は誰に/花づな列島復興のためのメモ(291)
もはや政党としてのアイデンティティを失っているのではないか。
みんなの党も、結いの党が分離して純化したと言っていたが、純化とは与党へのすり寄りのことであったようである。
両党とも、そんなに長い余命ではないような気がする。

一方、与党である公明党は一味違うところを見せた。
公明党の山口那津男代表は、武器輸出三原則見直しに歯止めを求め、教育委員会制度改革に疑問を呈した。

NHKの新会長に就任した籾井勝人氏は、就任の記者会見で、特定秘密保護法が「NHKスペシャル」などで一度も取り上げられていないことを問われると「一応(国会を)通っちゃったんで、言ってもしょうがない。政府が必要だと言うのだから、様子を見るしかない。昔のようになるとは考えにくい」と述べた。
これでは、報道機関の責任を放棄していると批判されても止むを得ないだろう。
かくして、批判勢力は刈り取られ、オール与党体制ができて行くのであろうか?
安倍政権は、「いつか辿った道」を歩んでいるような気がするのは思い過ごしであろうか?

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コメント

責任野党って言葉を民主党政権時代にマスコミが自民党に対して使っていたのは
マスコミが有権者を愚弄するために使っていたのだな。

投稿: | 2017年8月14日 (月) 17時16分

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