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2014年1月 5日 (日)

戦後政治の価値意識/花づな列島復興のためのメモ(289)

一強多弱といわれる政治状況の中で、安倍政権が戦後レジーム否定の旗幟を鮮明にしつつある。
一昨年末の総選挙、昨夏の参院選が現在の一強多弱をもたらしたわけであるが、その2つの選挙で問われたのは何で、問われなかったのは何か?
デフレ脱却という経済政策と民主党政権に対する信任であり、安倍首相が現在進めていることについて、国民が白紙委任したわけではないだろう。

デフレ脱却と民主党政権への期待外れが、結果として自民党の地滑り的勝利をもたらした。
安倍政権は、2006年からの第1次安倍政権の時、「美しい国づくり内閣」を標榜し、戦後レジームからの脱却を目指したが、体調不良により退陣を余儀なくされた。
その無念を晴らそうとするが如く、実に分かりやすく、戦後的価値の否定の姿勢を明確にしている。

特定秘密保護法、靖国参拝等の先に見据えているのは、憲法第9条の否定を軸とした改憲であろう。
ところが、戦後政治を主導してきた自民党は、必ずしも改憲一色ではない。
自由民主党は、1955年に自由党と日本民主党が、保守合同して誕生した。
つまり、保守-革新という図式で言えば、保守政党であるが、戦争体験によって、大東亜(太平洋)戦争に対する見方は異なっていた。

自民党には、大東亜戦争を明確に否定する立場と、肯定しようという立場があった。
保守合同は、冷戦構造という外的要因の中で、反共親米を共通項として成立した。
したがって、大東亜戦争に対する賛否は、伏流せざるを得なくなっていた。

大東亜戦争に対する否定派の源流は吉田茂であり、肯定派の源流は岸信介であろう。
吉田茂は、1946年(昭和21年)5月、自由党総裁鳩山一郎の公職追放にともなう後任総裁への就任を受諾し、内閣総理大臣に就任した(第1次吉田内閣)。
その後、社会党政権である片山内閣や芦田内閣を経て、1948年第2次内閣、1949年に第3次内閣を組閣した。
吉田茂は外交官の出身で、終戦後の1945年(昭和20年)9月、東久邇宮内閣の外務大臣に就任したことからも、根っから親米的であったといえよう。

1949年(昭和24年)3月、GHQ参謀第2部のチャールズ・ウィロビー少将に次のような書簡を送った(吉田茂-Wikipedia)。

日本の共産主義者の破壊的かつ反逆的な行動を暴露し、彼らの極悪な戦略と戦術に関して国民を啓発することによって、共産主義の悪と戦う手段として、私は長い間、米議会の下院非米活動委員会をモデルにした『非日活動委員会』を設置することが望ましいと熟慮してきた。

そして、1952年に破壊活動防止法と公安調査庁、内閣調査室を設置・施行されるきっかけを作った。
いわゆる冷戦という戦後体制の中で親米反共の立場は揺るがないものであったが、大東亜戦争に対しては、批判的であった。

太平洋戦争開戦前には、ジョセフ・グルー米大使や東郷茂徳外相らと頻繁に面会して開戦阻止を目指すが実現せず、開戦後は牧野伸顕、元首相近衛文麿ら重臣グループの連絡役として和平工作に従事(ヨハンセングループ)し、ミッドウェー海戦大敗を和平の好機とみて近衛とともにスイスに赴いて和平へ導く計画を立てるが、成功しなかった。

これに対し、岸信介は、A級戦犯容疑に問われたことからも理解できるように、親米反共ではあるが大東亜戦争を否定はしていない。
私なりに戦後体制をポジショニングしてみれば以下のようになろう。
Photo

ソ連邦崩壊、冷戦の終焉と共に、容共派はほぼ国内で絶滅した。
現在の一強多弱状況を崩すためには、対立軸が何かを明確にしなければならないだろう。
大東亜戦争に対する姿勢はその1つであると思うが、、国会議員の中で、終戦の前に生まれたのは68人、戦後生まれは654人だという。
圧倒的多数が、戦後民主主義を空気のような存在として過ごしてきたのではなかろうか。

私も、戦後民主主義を空気のような存在として過ごしてきた者の一人である。
私は、昨年の天皇誕生日における天皇の言葉を、戦後的価値の擁護として捉えた。

平和と民主主義を,守るべき大切なものとして,日本国憲法を作り,様々な改革を行って,今日の日本を築きました。

私もまた、平和と民主主義を、守るべき大切なものとして位置づけたい。
そのためには、自民党の中の護憲派的勢力を含めた再編成を目指すべきであろう。
イシューとしては、経済政策、原発問題、外交等が考えられる。
戦後民主主義を空気のように当たり前の前提としてきた世代が、それを失わせて、いつか来た道を辿るようなことがあってはならないであろう。

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