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2014年1月 9日 (木)

金融緩和で実体経済に資金は回っているか/アベノミクスの危うさ(24)

昨年4月に始まった黒田日銀の「異次元金融緩和」によって、資金供給量は、2013年末は2012年末に比べ、46%も増えた。
その結果、大幅な円安と株高が実現した。
安倍政権発足時の日経平均株価1万0230円、円ドルレート85円に対して、昨年12月30日大納会の平均株価の終値は1万6291円で実に約6割も上昇、円ドルは105円で2割強の円安となった。
しかし、実体経済に対しては、どの程度の効果と言えるのだろうか?

GDPは、大きく分けると、個人消費(民間最終消費支出)、民間住宅投資、民間設備投資、政府支出(消費と公共投資)、純輸出(輸出-輸入)から成り立っている。
2014年度にGDOにとってマイナス要因になると予想されるのが、個人消費、民間住宅投資と公共投資で、プラス要因が民間設備投資と純輸出。

2014年度のGDP成長率はどうなるであろうか?
下表は、各経済研究所の予測値である。Photo_2
http://diamond.jp/articles/-/46660

政府の実質成長率は1.4%であるが、それは研究所の予測値の中で最上位のメリルリンチ日本証券と同じである。
逆にニッセイ基礎研究所の予測では、0.2%に過ぎない。
消費税増税による個人消費の減少を大きく見ていることと、公共投資のマイナス影響が大きいと予想していることによる。
他の機関は、この中間にばらついている。

問題の中心は、4月から消費税率が5%から8%に引き上げられるので、この消費税増税によって個人消費がどの程度落ち込むと見るかであろう。
公共投資について政府は13年12月に5.5兆円規模の経済対策を決めたが、前回の10兆円と比べれば規模が小さくなるので、どの程度の寄与になるか。

金融緩和が波及していくシナリオは、下図のように想定されている。
Photo_5
http://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_seisaku-kinyusyoken20130417j-03-w440

しかし、肝心の金融機関の貸出残高は停滞している。
Photo_6
東京新聞1月8日

これでは実体経済への影響は疑問視せざるを得ないだろう。
メリットを享受しているのは、輸出企業に留まり、結果として、株高と円安"だけが起きているのではないか。

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