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2014年1月13日 (月)

東京オリンピックの顔と課題/花づな列島復興のためのメモ(292)

2020年の東京オリンピック・パラリンピックを運営する大会組織委員会の会長に森喜朗元首相の就任が内定した。
大会組織委員会はまさに、「顔」である。

海外のオリンピックでは、最近は招致委トップが横滑りするケースが多く、2012年ロンドン・オリンピックは招致委委員長だったセバスチャン・コー氏、2016年リオデジャネイロ・オリンピックも招致委会長のカルロス・ヌズマン氏が、ともに組織委会長に就いている。
しかし、東京招致委員会の会長だったのは、猪瀬直樹前東京都知事会だ。
異例の招致決定直後の辞職で、スケジュール的に停滞が許されない状況ではあった。

日本で開催された過去の五輪など大規模国際大会では、組織委トップは財界からの起用が多かった。
運営資金の円滑な調達に資するとの考え方で、1998年の長野冬季オリンピックは元経団連会長の故斎藤英四郎氏、2002年サッカー日韓ワールドカップでは、東京電力会長で経団連副会長にもなった那須翔氏が就いている。
下村文科相は、「森元首相は国際的にも日本全体にも最もネットワークを持っていて適任。当初は財界から(起用)という話があり努力したが、なかなか『これは』という人がいらっしゃらなかった」と語った。
森元首相は、下村文科相の要請に「わかりました。内諾させていただきます」と答えたという。

森氏は、2000年4月、3日前に脳梗塞で倒れ緊急入院した小渕恵三首相の後を継ぐ形で内閣総理大臣に就任した。
当時の自民党有力議員5人(森喜朗本人、青木幹雄、村上正邦、野中広務、亀井静香)が密室で談合して決めたと言われている。
当時の事情からは、何らかの機関で調整せざるを得なかったのであろうが、密室の談合で誕生したのが、「サメの脳みそ、ゴリラの体」と評されるこの人らしい。

しかし、オリンピック・パラリンピックの顔にこの人が就任するかと思うと、せっかくだが心弾んでこない。
下村文科相との会談には、JOCの堤義明最高顧問も同席したというが、未だに舞台裏で動いているのか、という感じである。
ワンマン経営舎として、コンプライアンスを踏みにじった張本人である。
東京オリンピック・パラリンピックに影を差すものと言えよう。

東京オリンピック・パラリンピックには、不祥事が付いて回っている印象である。
手始めは、女子柔道界のセクハラ・パワハラ問題である。
柔道女子日本代表の園田隆二監督が、暴力行為とパワーハラスメントを告発され、アテネ、北京の両オリンピックで金メダルを獲得した内柴正人被告が準強姦罪に問われるというありさまである。
これらは、全柔連の収拾の姿勢を含め、「体質すなわち構造」的な問題とせざるを得ないであろう。
猪瀬氏が、『勝ち抜く力 なぜ「チームニッポン」は五輪を招致できたのか』PHP新書(2014年1月)で、「じつに不愉快な出来事」と表現している。
⇒2013年2月 3日 (日):「プロセス」と「結果」の関係/花づな列島復興のためのメモ(187)
⇒2013年2月 9日 (土):コーチングと体罰/花づな列島復興のためのメモ(191)

猪瀬氏がニューヨークタイムズ紙のインタビューで、「イスラム圏で共通しているのはアラーの神だけで、喧嘩ばかりしている」とイスタンブール批判をしてしまった。
猪瀬氏の謝罪でことなきを得たが、他候補都市の批判は禁止というルールに抵触するものであった。

ついで、最終プレゼンにおける安倍首相の、「福島原発事故は完全にコントロールされている(undercontrol)」という発言。
⇒2013年9月24日 (火):「嘘も方便」首相と日本の将来/花づな列島復興のためのメモ(264)
⇒2013年10月 4日 (金):むしろuncontrolと言うべきでは/原発事故の真相(89)
⇒2013年10月17日 (木):安倍首相は裸の王様か?/アベノミクスの危うさ(16)
⇒2013年9月 8日 (日):2020年オリンピックが東京に決定/花づな列島復興のためのメモ(257)

そして、猪瀬招致委員会会長自身の辞職。
⇒2013年12月19日 (木):百条委の設置と猪瀬氏辞任/花づな列島復興のためのメモ(283)
⇒2013年12月20日 (金):猪瀬氏の決定的な勘違い/花づな列島復興のためのメモ(284)

さらには、国立競技場の建て替え問題。
景観上の問題の他、デザインコンペの要項が、都の条例の制限に反していた。
また原宿にある日本体育協会の本部ビル・岸記念体育会館(JOCやその加盟団体、記者クラブなどが入居している)も新国立競技場周辺に移転予定であるが、都の条例の規制緩和を織り込んだ計画だという。
⇒2013年12月31日 (火):今年を振り返って

森喜朗組織委員会会長では、これらの暗い影を払拭する方向に動く意志や能力を持ち合わせているとは思えない。
せめて、新都知事に期待するしかないか?

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