東電の再建事業計画/花づな列島復興のためのメモ(295)
政府は15日、東京電力の新たな総合特別事業計画(再建計画)を認定した。
日本経済新聞1月16日
いくつかの疑問を感じざるを得ない。
第一は、柏崎刈羽原発の再稼働を見込んでいることである。
都知事選でも争点化しているが、泉田新潟県知事の批判するように、運転再開を議論するような状況ではないと考えるべきであろう。
新潟県の泉田知事は、柏崎刈羽原子力発電所の運転再開による収益改善などを盛り込んだ東京電力の事業計画について、「絵に描いた餅だとしか受け止められない。福島第一原発事故の総括ができない会社に原発を動かす資格はない」と述べ、厳しく批判しました。
また、泉田知事は16日、東京電力の廣瀬社長と会談することを明らかにし、福島第一原発事故の検証を十分行うよう改めて伝えるとしたうえで、原発の運転再開については議論する段階ではないという考えを示しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140115/k10014508101000.html
福島第一原発事故の収束の端緒さえ見えていない。
また、再稼働したとしても、核燃料廃棄物の処理さえできない。
⇒2012年9月 4日 (火):核廃棄物をどうするか?/花づな列島復興のためのメモ(137)
⇒2013年9月25日 (水):核ゴミをこれ以上増やすな/原発事故の真相(86)
⇒2012年6月11日 (月):電源構成と核燃料サイクル/花づな列島復興のためのメモ(83)
第二は、国と東電の責任分担をどう考えるか、という問題である。
政府は、エネルギー基本計画で原発を「重要なベース電源」と位置付けている。
その政府が東電事業計画を認定する問うことであれば、原発再稼働が盛り込まれるのは当然のこととも言えよう。
しかし、シビアアクシデントの教訓を踏まえているのか。
再建計画では、被災者への損害賠償は従来通りに東電が支払うが、電力会社が除染など事故処理の費用をすべて負担する枠組みは見直した。
除染のうち、実施・計画済みの費用は国が保有する東電株の売却益を充て、東電の負担を軽くすることとされている。
東電と国の役割分担はそれでいいのだろうか?
問題は、一企業では負担しきれない巨額費用が発生しつつあることであろう。
それが原発の1つの側面であることを、率直に認識しなければならない。
国も原発を国策として推進してきた以上、国費の投入はやむを得ないだろうが、国費を投入する以上、原発に対するスタンスについて、国民の合意を得る必要がある。
事故対応の全体像を、コストを含め、開示すべきではないか。
第三は、シェアホルダーならびに債権者の責任はどうなるのか、という問題である。
国費投入は、原発と全く関わり合いがない沖縄県民も含めて負担するということである。
融資や投資で利益を上げてきた金融機関や株主が、相応の負担をするのは当然であろう。
株主や貸主の責任を曖昧化することは、産業社会における「倫理の崩壊」に繋がるだろう。
⇒2012年7月31日 (火):山口県知事選は地殻変動の前兆か?/花づな列島復興のためのメモ(121)
第四は、東電社員の待遇問題である。
コスト削減の目標を達成した場合、年収の削減幅を縮めていくことになっている。
東電は、高待遇会社として知られる。
私の知人の話だと、企業年金も公的年金よりも多いらしい。
人材流出防止のためだというが、実態として破綻している会社の社員の待遇改善には慎重になるべきではないか。
全体として、東電と政府が馴れ合いの感じを拭えない。
国民の多数の理解を得られるだろうか。
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