関西の「いき」を体現・やしきたかじん/追悼(42)
歌手や司会者などとして幅広く活躍してきたやしきたかじん(本名・家鋪隆仁)さんが、3日亡くなった。
私は、リハビリ専門病院に入院中に、ST(言語聴覚士)の才媛に教えられて、静岡のローカル局で、 「たかじんのそこまで言って委員会」を放映していることを知った。
退院後の数少ない視聴する番組の1つとなっていたが、体調不良で休んでいたので気になっていた。
タイトル通り、たかじんさんが仕切ってこその番組である。
出演者はライトよりの人が多く、たかじんさん自身もそういう傾向だったようであるが、反中央・反権威主義的なところは大いに同感する部分があった。
たかじんさんの本業は、歌手である。
しかし、私は歌っているシーンは記憶にない。
やしきたかじん-Wikipediaには、次のような話が紹介されている。
普段のしゃべる時のだみ声の地声と、歌うときの高く澄んだ甘い歌声とのギャップがあまりにも大きいため関西以外ではたかじんが歌手であることを疑われることが頻繁にあり、関西では「スズムシの声を持ったゴキブリ」と呼ばれていた。上岡龍太郎はたかじんを評して「普段のしゃべり声は芸人の声、歌っているときの声は歌手の声」と言った。
確かに、司会をしている時のたかじんさんの声から歌手を想像することは難しい。
一緒に番組を視聴している妻は、歌手とは思っていないかも知れない。
東京嫌い(=反権力)は以下のように徹底していた。
上岡龍太郎と同じく大の東京嫌いのため、在京局の番組での出演は非常に少なく、全国ネットの出演番組も多くはない(なお、上岡は1987年から2000年の引退まで全国ネット番組には出演していた)。かつて『たかじん胸いっぱい』(関西テレビ)の全国ネット化をキー局のフジテレビから打診され、また『たかじんのそこまで言って委員会』(読売テレビ)もキー局の日本テレビからゴールデンタイムでの全国ネット化を熱望されたが、たかじんが「関東には絶対流さない」「関東で放送されるくらいなら辞退する」と言い(『そこまで言って委員会』の宮崎哲弥も同様に埼玉・千葉・神奈川では辞めないにしても、東京で放送したら辞めると宣言している)、在京キー局(関東)ではネットされていない(全国ネットではない)現状である。
数多くの武勇伝が知られているが、割愛する。
歌手の堀内孝雄とは桃山学院高校時代の同級生だという。
高校時代は新聞部の部長を務め、新聞記者志望だったという。
しかし、多くのいざこざから自らの手で新聞部を廃部にし、同校の卒業名簿の著名な卒業生一覧から「やしきたかじん」の名は抹消されている。
なお、桃山学院高校の新聞部は現在も廃部の状態であるという。
お笑い番組の名プロデューサー沢田隆二氏は、以下のように哀悼している。
芸が円熟していくころだけに残念だ。達者なしゃべりとともにテレビで見せるアクの強さ、歌手としては二枚目的というギャップも、大阪で好まれたのだろう。東京集中が進むテレビの世界で、東京に背を向けて大阪流を貫いた最後のスターかもしれない
http://sankei.jp.msn.com/west/west_life/news/140108/wlf14010811010010-n1.htm
すべてが東京一極に集中していくかの感がある中で、際立った存在だった。
関西(大阪≒反東京)のダンディズム・「いき」の精神を体現した人だった。
合掌。
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