租税回避地を使い節税(?)する東電/ブランド・企業論(12)
果たして節税という言葉が相応しいのであろうか?
東京電力が複雑なスキームを使って、免税制度のあるオランダに利益を蓄積していた。
海外の発電事業に投資して得た利益である。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2014010102000105.html
オランダは、タックスヘイブン(租税回避地)の1つである。
AIJ投資顧問という会社がケイマン諸島でやっていたことと同じことではないか。
⇒2012年3月 3日 (土):AIJ投資顧問をめぐる闇/花づな列島復興のためのメモ(31)
⇒2012年3月30日 (金):AIJ投資顧問をめぐる闇(4)ケイマンによる「見えさる化」/花づな列島復興のためのメモ(42)
タックス・ヘイヴンといえば、通常は、英国領ケイマン諸島のような、国際金融取引の単なる中継地として利用されることを想定したような、それ自体は特に見るべき産業のない島国が想定される。
しかし、現在の国際金融取引においては、租税負担の軽減を目的として、多くの資金がタックス・ヘイヴンを経由して動いているとされる。
一部のタックス・ヘイヴンには、本国からの取締りが困難だという点に目を付けた、暴力団などの反社社会的勢力の資金なども流入しているといわれている。
東電が通常の企業ならば、タックス・ヘイブンを利用することもいいだろう。
電力会社は代表的な公益企業である。
公益企業には一般の私企業に比べ、より大きな社会的責任があると考えられる。
その存立の基盤を自ら放棄する行動といえよう。
確かに、外形上は「現行税制では合法」かも知れない。
しかし、東電は福島原発事故の対応のため、公的支援を受けている。
つまり、右手で国民の税金を受け、左手で自らの税金を隠しているようなものではないか。
東電担当者は「多額の税金が投入されていることは、十分認識している。国民負担最小化をはかる観点から、海外投資子会社の内部留保の有効活用は引き続き検討したい」としているが、空々しい。
東電をどうすべきか?
⇒2013年11月20日 (水):東京電力をどうすべきか?/ブランド・企業論(10)
東電と原子力損害賠償支援機構が策定し政府に12月27日に提出した新しい再建計画では、株主・貸し手責任に踏み込まない内容になっている。
それでいいのか?
原発再稼働に積極的な安倍政権は、国民支持が根強いことを背景に、東電の経営体質や原発問題への批判に対し、新たな対応策を立てる動きをみせていない。
この再建計画に墨付きを与えるならば、「原発復権」の勢いが加速することは間違いない。
ここでは原則に立ち戻って、株主や債権者に相応の責任を負わせるべきではないか。
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